セスジイトトンボ

セスジイトトンボ（背筋糸蜻蛉）

セスジイトトンボ（学名: Paracercion hieroglyphicum）は、トンボ目イトトンボ科に分類される昆虫の一種です。日本を含む東アジアに広く分布し、身近な水辺で見られます。

分布

日本全国のほか、朝鮮半島、中国、ロシア極東部に分布しています。平地や丘陵地の湖沼、河川、用水路など、多様な水環境に生息しています。

形態

成虫の全長は27-37mm、腹長は21-29mm、後翅長は13-22mmです。未成熟な個体は、オス・メスともに淡い青色をしていますが、成熟するとオスは鮮やかな青色に変化します。メスは緑色から黄褐色になるのが一般的ですが、まれにオスと同様の青色になる個体も存在します。

クロイトトンボ属の他の種との識別点として、オスの上付属器が「ハ」の字状に開いていること、メスの前胸後縁がえぐれていないことが挙げられます。また、秋になると黒化が進み、ムスジイトトンボとよく似た斑紋を持つ個体も現れます。

生態

平地や丘陵地の、浮葉植物や沈水植物のある湖沼や、河川中流から下流域の流れの緩やかな場所、用水路などに生息します。

成熟したオスは縄張りを持ち、周囲を飛び回ってメスを探します。メスを見つけると連結し、植物に止まって交尾を行います。産卵は緩やかな流れのある場所で行われ、連結したまま水面付近の植物に産卵することが多いですが、メスが単独で産卵することもあります。また、水中に潜って産卵することもあります。

卵の期間は1-3週間、幼虫の期間は2ヶ月から1年程度です。幼虫は水中で生活し、冬は幼虫の状態で越冬します。

近縁種

クロイトトンボ (Paracercion calamorum calamorum)
オオイトトンボ (Paracercion sieboldii)
ムスジイトトンボ (Paracercion sexlineatum)
オオセスジイトトンボ (Paracercion plagiosum)

参考文献

杉村光俊ほか『中国・四国のトンボ図鑑』ミナミヤンマ・クラブ、2008年、64頁。ISBN 978-4-87051-240-5。
福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』（増補改訂版）南方新社、2009年、101頁。ISBN 978-4-86124-168-0。
尾園 暁、川島逸郎・二橋 亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2012年、128頁。ISBN 978-4-8299-0119-9。

外部リンク

Cercion hieroglyphicum - National Center for Biotechnology Information（NCBI）
Paracercion hieroglyphicum (Brauer 1865) - Encyclopedia of Life
青木典司 (2008年8月19日). “セスジイトトンボ”. 神戸のトンボ. 2011年8月24日閲覧。

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