セストリエーレ

セストリエーレ：スポーツと歴史が息づく山岳リゾート

セストリエーレは、イタリアのピエモンテ州トリノ県に位置する、人口約900人の基礎自治体（コムーネ）です。ここは、国際的なアルペンスキーの競技大会が開催される著名なスキーリゾート地として、世界的に知られています。また、自転車ロードレースの舞台としてもその名を知られており、スポーツ愛好家にとっては見逃せない場所となっています。

名称の由来

セストリエーレという地名は、ラテン語の「ad petram sistrariam」に由来します。これは、古代ローマ時代にトリノから60マイル（ローママイル）の地点を示すものでした。多様な言語で異なる名称を持ち、ピエモンテ語では「ël Sestrier」、オック語では「Sestrieras」または「la Sestriera」、フランス語では「Sestrières」と呼ばれています。

地理

セストリエーレは、トリノ県の南西部に位置し、県都トリノから西へ約65km、クーネオから北西へ約79km、フランスのグルノーブルからは東南東へ約97kmの距離にあります。キゾーネ渓谷とスーザ渓谷の間に位置し、中心地はセストリエーレ・コッレです。周囲にはフライテーヴェ山（2701m）、シーゼス山（2658m）、プンタ・ロニョーザ峰（3280m）などの山々がそびえ立ち、壮大な景観を作り出しています。

集落は、分水線上にあるセストリエーレ・コッレ、キゾーネ渓谷にあるセストリエーレ・ボルガータ、そしてシャンプラス・スーザ渓谷にあるシャンプラス・デュ・コルとシャンプラス・ジャンヴィエなどに点在しています。セストリエーレは、役場所在地の標高がイタリアで最も高いコムーネとしても知られています。

歴史

セストリエーレの歴史は、1930年にフィアット創業者のジョヴァンニ・アニェッリがこの地を購入し、リゾート開発を始めたことから大きく動き出しました。最初に建てられた2つの円形高層ホテルは、セストリエーレのシンボルとなり、バンチェッタ山、シーゼス山、フライテーヴェ山を結ぶケーブルカーが建設されました。1934年にはコムーネとして創設され、周辺のコムーネから分離・編入が行われ、1935年に新たなコムーネとして発足しました。

1930年代には道路が開通し、スキーのジャンプ台やホテルが建設され、ヨーロッパで最も標高の高いゴルフ場も開設されました。第二次世界大戦によってリゾート開発は一時中断しましたが、1950年代に再開され、ジョヴァンニ・アニェッリの甥であるGiovanni Nasiが町長として戦後のリゾート開発を主導しました。1967年からはアルペンスキー・ワールドカップの開催地となり、1997年にはアルペンスキー世界選手権が開催されました。2006年のトリノオリンピックでは、男子アルペンスキー競技の会場となり、選手村も設置されました。

経済と産業

セストリエーレは、主要な産業は観光であり、特にスキーリゾート地として有名です。冬のホリデーシーズンには人口が2万人にまで増加します。周辺のスキーリゾート地と合わせて「ヴィア・ラッテア（Via Lattea）」と呼ばれる広大なスキーエリアを形成しており、146のゲレンデと総延長400kmのコースを有しています。夏には、ヨーロッパで最も高い場所にある18ホールのゴルフコースが利用可能です。

スポーツ

セストリエーレは、アルペンスキー・ワールドカップの競技地として知られ、過去にはFISワールドカップ・グランドファイナルやアルペンスキー世界選手権、トリノオリンピックなどの国際的なスポーツイベントが開催されました。また、自転車ロードレースのツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアのコースにも含まれており、多くのサイクリストがこの地を訪れます。

かつては陸上競技の国際競技会も開催され、走幅跳で世界記録に匹敵する記録が生まれるなど、数々の名場面が刻まれました。現在も、スポーツと自然を愛する人々にとって、セストリエーレは魅力的な場所であり続けています。

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