セッション層

セッション層とは

セッション層は、OSI参照モデルにおいて、物理層から数えて5番目に位置する層です。この層は、プレゼンテーション層からの要求を受け、トランスポート層へサービスを要求する役割を担います。

具体的には、エンドユーザーのアプリケーション間で、データの送受信を行うための「セッション」を確立し、管理し、終了させる機能を提供します。セッションとは、アプリケーション間での対話（リクエストとレスポンスのやり取り）を指し、セッション層は、この対話を円滑に進めるための機構を提供します。

セッション層の役割

セッション層の主な役割は以下の通りです。

セッションの確立: アプリケーション間の通信を開始するための準備を行います。
セッションの管理: データの送受信が正しく行われるように、通信フローを制御します。
セッションの終了: 通信が完了した際に、セッションを正常に終了させます。
同期点の提供: 通信中にエラーが発生した場合、中断した時点から再開できるように、同期点を提供します。
通信方式の提供: 全二重通信または半二重通信をサポートし、アプリケーションのニーズに合わせた通信方式を提供します。


[セッション]]層は、一般的に[[遠隔手続き呼出し]を使用するアプリケーション環境で使用されます。また、接続が途切れた場合には、接続の回復を試みることができます。長時間使用されない接続は、終了および再開も可能です。

セッション層プロトコルの例

セッション層プロトコルには、以下のようなものがあります。

OSIプロトコル群セッション層プロトコル (X.225 / ISO 8327): 接続の回復を試み、長時間使用しない場合は接続の終了と再開を可能にします。
Zone Information Protocol（ZIP）: AppleTalkプロトコルで使用され、プロセスを結び付ける名前を調整します。
Session Control Protocol（SCP）: DECnet Phase IVのセッション層プロトコルです。

TCP/IPモデルにおけるセッション層

TCP/IPモデルでは、セッション層は個別の層としては存在しません。セッション層の機能は、トランスポート層（TCP）や一部のアプリケーション層プロトコルによって部分的に提供されています。しかし、その機能の多くは、インターネットアプリケーションでは通常使用されません。

例えば、TCPプロトコルの4ウェイ・SYNハンドシェイクによるセッションの正常終了処理は、OSI参照モデルではセッション層の責任とされています。また、セッションの同期点や復旧の機能も、OSIモデルではセッション層が担いますが、インターネットではアプリケーション層プロトコルによって、データの流れを適切に結合する形で代替されています。

セッション層のサービス

セッション層は、以下のようなサービスを提供します。

認証: 通信相手が正当なユーザーであることを確認します。
アクセス権: 通信相手がデータにアクセスする権限を持っているかを確認します。
* セッション・レストレーション: 通信中にエラーが発生した場合、中断した時点から再開できるようにします（同期点と復旧）。

具体例

セッション層の機能が活用されている具体例として、Web会議アプリケーションが挙げられます。このアプリケーションでは、映像と音声を同時に送受信し、整合性を保つ必要があります。セッション層の機能によって、映像と音声の同期、リップシンクの問題解決、発言権の制御などが行われます。これにより、スムーズなコミュニケーションが可能となります。

また、テレビの生放送番組においても、映像と音声の連携が重要です。セッション層と同様の機能によって、映像の抜けや遅延が生じた場合でも、音声との流れを正確に保ち、視聴者にストレスを与えないように制御されています。


セッション層は、アプリケーション間の円滑な通信を支える重要な役割を担っています。OSI参照モデルとTCP/IPモデルの間で、その機能は異なる形で実現されていますが、どちらにおいても、通信の安定性と効率性を向上させるために欠かせない要素です。

もう一度検索