セトゥーバル

セトゥーバルは、ポルトガル南部に位置する重要な都市であり、その歴史は古代ローマ時代にまで遡ります。リスボンから南へ約40km、サド川の北岸に位置し、ポルトガルで9番目の人口を擁しています。この地は、交易都市として栄えた歴史を持ち、特に中世以降は漁業、工業、観光業の中心地として発展してきました。

歴史

セトゥーバルの歴史は古く、フェニキア人が交易拠点として利用したとされています。古代ローマ時代には、対岸のトロヤ半島にカイトブリガという町があり、塩田と漁業で栄えていました。その後、都市機能は現在のセトゥーバルに移り、イスラム帝国時代には「シャトゥーバル」と呼ばれるようになりました。大航海時代には大西洋に面した重要な港町として繁栄しましたが、1755年の大地震で大きな被害を受けました。

19世紀後半には、鉄道の開通とともに魚介類の缶詰工場が設立され、漁業の中心地として再び発展を遂げました。20世紀には、肥料、セメント、製紙、金属加工、造船などの工業も発展しましたが、世紀末にはこれらの産業が衰退し、失業問題が発生しました。近年では、自動車産業を中心に、ガラス、製薬、電機関連の工場が進出しています。また、アラビダ自然公園やイルカが生息するサド川、トロヤ半島など、豊かな自然を活かした観光地としても注目されています。

市内の歴史的建造物

セトゥーバルには、歴史的な建造物が数多く残されています。

イエスの教会: 15世紀から16世紀にかけて建設された、後期ゴシック様式の教会です。ジェロニモス修道院の建設にも携わったディエゴ・ボイタックも建設に関わっています。
サン・ジュリアン教会: 16世紀には現在の姿になったとされ、セトゥーバルを代表する教会の一つです。
サン・フィリペ砦: 1590年にスペイン国王フェリペ2世によって建設された砦です。内部には18世紀のアズレージョが残る礼拝堂があります。

自然

セトゥーバル近郊には、自然豊かなアラビダ自然公園が広がっています。108平方キロメートルの広さを持ち、ダルマチアのような美しい景観が特徴です。また、サド川にはイルカが生息しており、観光客にも人気があります。

人物

セトゥーバルは、多くの著名人を輩出しています。詩人のマヌエル・マリア・バルボサ・ド・ボカージェやオペラ歌手のルイサ・トディはセトゥーバルの出身です。また、サッカー監督のジョゼ・モウリーニョもこの街で生まれました。

スポーツ

セトゥーバルを本拠地とするヴィトーリアFCは、プリメイラ・リーガに所属する総合スポーツクラブです。サッカー部門が特に有名です。

交通機関

セトゥーバルには、鉄道とバスの交通機関があります。

鉄道: セトゥーバル駅とプラサ・ド・ケベド駅があり、リスボン近郊鉄道や長距離鉄道が利用できます。リスボンへは約1時間、バレイロへは約30分でアクセス可能です。
* バス: 市街地中心部のバスターミナルから、リスボン行きの高速バスが1時間に1本運行しています。所要時間は約40分から50分です。

セトゥーバルは、歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市です。観光地として、また生活の場として、多くの人々がこの街に魅力を感じています。

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