セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー

アルバム『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』の概要

『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』（Seven and the Ragged Tiger）は、イギリスのポップロックバンド、デュラン・デュランの1983年にリリースされた3枚目のスタジオアルバムです。この作品は、バンドの音楽的進化を示す重要な作品として位置付けられており、全英チャートでの成功を収めました。

アルバム制作の背景

このアルバムは、バンドが初めてプロデューサーを変更した作品で、これまでのプロデューサーであるコリン・サーストンと別れ、イアン・リトルが共同プロデューサーとして迎えられました。この変化は、特にシングル「プリーズ・テル・ミー・ナウ」のリリースにおいて顕著でした。この曲は、アレックス・サドキンのサウンドによってミキシングされており、サウンドの方向性を一新させました。アルバムのソングライティングは83年3月にフランスで始まり、リトルの影響を受けた作品となりました。録音はモントセラトのAir Studiosで行い、ミキシングはシドニーの301 Studioにて実施されました。

バンドはモントセラトでの制作後、1983年7月にイギリスで開催されたチャリティ・コンサートに出演し、その後シドニーへと移動。サイモン・ル・ボンは、同年10月に日本ツアーを計画していましたが、アルバム制作の遅延により延期されました。アルバムのタイトルについてロジャー・テイラーは、単に冒険を感じさせる名前で深い意味はないとコメントしています。一方、ル・ボンは「セブン」がバンドとマネージャーに由来していることや、タイトルが運を呼ぶことを期待した点を明かしています。

音楽スタイルと特徴

ジョン・テイラーによれば、本作のリズムはシンプルでダンスしやすくなった一方で、メロディはさらに複雑さを増しています。特に、「タイガー・タイガー」と「7番目の男」では、フレットレスベースが使用され、新たなアプローチが取られました。また、「ザ・リフレックス」は、当初アルバム収録曲として考えられていましたが、メンバーの意向によりシングルとしてリリースされ、見事にヒットを記録しました。この曲はナイル・ロジャースによるリミックスも評判となり、バンドの代表曲となりました。

アルバムの商業的成功

アルバムは、1983年12月3日付の全英アルバムチャートで初登場1位となり、現在もデュラン・デュランの唯一の全英1位アルバムです。また、ニュージーランドのチャートでも初登場1位となり、長期間にわたるロングヒットを記録しました。日本では、1983年12月16日に初回LPが発売され、オリコンLPチャートで6位に達しました。さらに、アメリカでもBillboard 200で8位にランクインし、彼らの商業的成功を示しました。

批評と評価

『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』の評価は分かれており、音楽評論家の一部は、音の処理が過剰であり結果的に印象が散漫になったと指摘しています。オールミュージックのレビューでは、愛される作品であるが、前作『リオ』に比べ自由奔放さに欠けるとの意見が述べられました。それでも、シングルの成功がアルバムの評価を押し上げたことも事実です。

収録曲と参加ミュージシャン

アルバムには、ヒットシングル「ザ・リフレックス」や「ユニオン・オブ・ザ・スネイク」などが収録されています。参加ミュージシャンも多様で、サイモン・ル・ボンがボーカル、ジョン・テイラーとロジャー・テイラーがリズムを担当しています。他にもサクソフォンやパーカッションのカバーがあり、アルバムに豊かさを与えています。アルバムは今なお多くのファンに愛されており、その音楽的影響力は色あせることがありません。

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