セラ (建築)

セラ（Cella）とは

セラ（Cella）は、古代ギリシャ・ローマの寺院建築において、壁で囲まれた中心的な部屋を指します。ケルラとも呼ばれます。

ギリシャ・ローマ寺院におけるセラ

古代ギリシャ・ローマの寺院では、セラは建物の中央に配置され、寺院が祀る神格の像が安置されていました。神像のほか、神格に関連する奉納品（石、兜、槍、剣、戦利品など）を保管するためのテーブルが置かれることもありました。これらの奉納品は、当時のギリシャ・ローマ社会において、一種の通貨のように扱われることもありました。

重要な点として、集会所や祭壇はセラの中に設けられることはなく、他の神格を祀る場合も含め、建物の外に設置されていました。

エトルリアにおけるセラ

建築家ウィトルウィウスによれば、エトルリアの寺院（Portonaccioやウェイイなど）では、正面に2列の円柱を持つ3つのセラが並んでいるのが特徴でした。これは、円柱のない単一のセラを持つギリシャやオリエントの寺院とは異なる、独自の建築様式であり、イタリアのティレニア地方とエトルリア地方で広く用いられました。

エジプトにおけるセラ

プトレマイオス朝エジプトのヘレニズム文化においては、エジプト寺院における創造以前の宇宙を象徴する、完全な闇に包まれた隠された聖域としてセラが言及されています。セラはnaosとも呼ばれ、箱のような神殿が数多く存在しました。ギリシャ語のnaosは、考古学者がピラミッドの中央の部屋を指す言葉としても用いられています。

キリスト教の教会におけるセラ

初期キリスト教およびビザンティン建築においては、セラ（naos）は教会の中央部分、典礼を行うための空間として確保されました。その後、チャペルや修道士の小部屋もセラと呼ばれるようになりました。