セラフィーヌの庭

映画『セラフィーヌの庭』について

『セラフィーヌの庭』（原題：Séraphine）は、2008年に公開されたフランス・ベルギー合作の伝記映画です。20世紀初頭に活躍したフランスの女性画家、セラフィーヌ・ルイの生涯を、彼女の絵画のように鮮烈に描き出しています。監督はマルタン・プロヴォストが務め、主演のヨランド・モローがセラフィーヌを熱演し、2008年度セザール賞で作品賞を含む7部門を制覇しました。

ストーリー

物語の舞台は、パリ郊外のサンリスという緑豊かな町。身寄りのない家政婦として働くセラフィーヌは、40歳を過ぎてから、守護天使のお告げに従い絵を描き始めます。独学で絵を学ぶ彼女は、絵具もまた独創的でした。身近な自然から素材を採集して自ら絵具を作り、白色だけを買って使用していたのです。

1912年、セラフィーヌの勤める家に、ドイツ人の画商ヴィルヘルム・ウーデが間借り人としてやってきます。ウーデは、セラフィーヌの描く花や植物の絵に、独自の色使いと激しい情熱を感じ取り、その才能に魅了されます。しかし、1914年に第一次世界大戦が勃発すると、ドイツ人であるウーデはフランスを離れることを余儀なくされます。

それから13年後の1927年、ウーデはフランスに戻り、音信不通となっていたセラフィーヌを探し当てます。老いとともに仕事が減り、生活に困窮していたセラフィーヌですが、絵を描くことはやめていませんでした。むしろ、その腕はさらに磨きをかけていました。

ウーデは再びセラフィーヌを経済的に支援し、彼女は歓喜し、高価な物を買い漁り、個展開催に向けて制作に没頭します。しかし、世界は大恐慌の時代に突入し、ウーデはセラフィーヌの浪費を支えきれなくなります。個展の計画も延期となってしまいます。純粋なセラフィーヌにとって、この個展の延期は理解し難い出来事でした。ウーデの真意を疑い始めたセラフィーヌは精神を病み、療養施設へと収容されてしまいます。

もはや絵を描くこともできなくなってしまったセラフィーヌのために、ウーデにできることは、画商として彼女の作品を世に送り出すことだけでした。映画は、セラフィーヌの才能が開花する喜びと、その後の悲劇的な運命を、感動的に描いています。

キャスト

セラフィーヌ・ルイ：ヨランド・モロー
ヴィルヘルム・ウーデ：ウルリッヒ・トゥクル
アンヌ・マリー：アンヌ・ベネント
デュフォ夫人：ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ
女子修道院長：フランソワーズ・ルブラン
ヘルムート：ニコ・ログナー
デュバル：セルジュ・ラヴィリエール
ミヌーシュ：アデライード・ルルー

受賞

2008年セザール賞：作品賞、主演女優賞（ヨランド・モロー）、撮影賞、脚本賞、衣装デザイン賞、美術賞、録音賞

原作

F・クロアレク『セラフィーヌ』（山形梓訳、未知谷）

関連項目

素朴派

外部リンク

公式ウェブサイト
セラフィーヌの庭 - allcinema
セラフィーヌの庭 - KINENOTE
Séraphine - オールムービー（英語）
Séraphine - IMDb（英語）

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