セリエA (サッカー) 1942-1943

セリエA 1942-1943シーズン

1942年から1943年にかけて開催されたセリエAは、イタリアにおけるサッカーリーグの最高峰として、1898年の創設から数えて43回目のシーズンにあたります。また、全国単一リーグ制が導入されてからは14シーズン目となりました。前シーズンでは、ASローマが優勝トロフィーを掲げていました。

このシーズンは、世界を巻き込んだ第二次世界大戦が続く最中に開催されたもので、戦争中に実施された3シーズンのうちの3回目にあたります。結果的に、この1942-1943シーズンが、戦前のイタリア全国選手権として最後の開催となりました。

シーズンの概要と結果

前年度のリーグ戦終了後、セリエAからセリエBへの降格が決まったのはナポリとモデナでした。これに代わり、セリエBからトップカテゴリーへ昇格を果たしたのは、バーリとヴィチェンツァの2クラブでした。

激しい優勝争いを制し、このシーズンの栄冠に輝いたのはトリノでした。彼らにとって、これは1927-1928シーズン以来、実に15年ぶりとなる通算2回目のスクデット獲得となりました。さらに、トリノはこの1942-1943シーズンのコッパ・イタリア（イタリア杯）でも優勝を飾り、セリエAとコッパ・イタリアの国内二冠を達成したイタリアサッカー史上初のクラブとして、その歴史に名を刻みました。個人成績では、ラツィオに所属する攻撃的ミッドフィールダー、シルヴィオ・ピオラがリーグの得点王に輝き、その卓越した決定力を見せつけました。

リーグ戦におけるチーム順位は、主に獲得した勝点によって決定されました。勝点が同じチームが複数ある場合は、まず得失点差、それでも順位が定まらない場合は総得点数が次の判断基準となりました。

降格争いとリーグの中断

シーズン終盤では、リーグ残留をかけた戦いも熾烈を極めました。特に、勝ち点で13位に並んだトリエスティーナ、ヴェネツィア、バーリの3チームは、セリエBへの降格を回避するために、中立地で降格プレイオフを実施しました。この結果、バーリともう一チーム、リグーリアが次シーズンのセリエBへ降格することが決定しました。

しかし、1942-1943シーズンが終了した後、戦争の状況はさらに悪化し、イタリア国内の混乱は増しました。その影響により、翌シーズンの1943-1944シーズンの全国レベルのサッカー選手権は開催されることなく中止となりました。イタリアにおいて再び全国規模のサッカーリーグが開催されるのは、第二次世界大戦が終結した後の1945-1946シーズンまで待たねばなりませんでした（このシーズンは、イタリア選手権として通算44回目の開催となります）。そして、単一リーグ制のセリエAが本格的に復活を遂げるのは、そのさらに翌年の1946-1947シーズンとなります（これはセリエAとしては通算45回目、1リーグ制としては15回目のシーズンにあたります）。ただし、全国選手権が中断していた期間中の1944年には、北部イタリアなど一部地域で地方レベルのサッカー選手権（例：カンピオナート・アルタ・イタリア 1944）が非公式に行われた記録も残っています。

セリエA 1942-1943シーズンは、戦前最後の全国リーグとして、そしてトリノの歴史的な二冠達成という記録を生んだシーズンとして、イタリアサッカー史において記憶されるべき節目となりました。このシーズンをもって、イタリアのトップリーグは戦争による一時的な中断期間へと突入したのです。

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