セルカーク (マニトバ州)

カナダ・マニトバ州のセルカーク市：歴史と発展、そして「世界のナマズ首都」

マニトバ州南部に位置するセルカーク市は、州都ウィニペグから南へ約100キロメートル、ペンビーナ渓谷地域の中心都市として栄えています。人口は約1万3700人で、この地域における商業や行政の中枢的な役割を担っています。

セルカーク市の歴史は、19世紀初頭、第5代セルカーク伯爵トーマス・ダグラスの土地取得にまで遡ります。伯爵はハドソン湾会社から広大な土地を購入し、その一部にスコットランドからの入植者を招致しました。これらの入植者たちは、レッド川流域に新たなコミュニティを築き始めました。

しかし、この入植は平穏なものではありませんでした。1816年には、ハドソン湾会社と北西会社の間で「セブン・オークスの戦い」と呼ばれる武力衝突が発生。商業的な利権を巡る争いが、流血の惨劇へと発展したのです。この戦闘は、セルカーク伯爵側にも大きな損害を与えました。

その後、調査委員会を経て、北西会社の権利も認められ、緊張は幾分緩和されましたが、この出来事はセルカークの歴史に深い影を落としています。伯爵自身も健康を害し、1820年に亡くなりました。 ハドソン湾会社と北西会社は、1821年に合併しました。

困難な歴史を経て発展を遂げたセルカーク市は、スコットランド系の入植者たちの努力と、セルカーク伯爵の功績を称え、その名を受け継いでいます。1882年には町制を施行、その後、現代の都市へと発展しました。

現在では、セルカーク市は経済的に活気のある街として知られています。「世界のナマズ首都」を自称するほどナマズの生息量が豊富で、その大きさと数から、アメリカ合衆国からも多くの釣り人が訪れるほどの人気スポットとなっています。

また、マニトバ州最大の心療内科病院であるセルカーク精神衛生センターも市内にあり、多くの雇用を生み出しています。さらに、ブラジルの鉄鋼メーカーであるジェルダウ傘下の製鉄所も操業しており、多様な産業が経済を支えています。

交通の便も良く、セルカーク空港が利用可能です。

歴史的な出来事や、自然環境、そして現代的な産業が調和したセルカーク市は、カナダにおける魅力的な都市の一つとして、これからも発展を続けていくことでしょう。

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