セルゲイ・ハチャトゥリアン

アルメニアが生んだ才能あふれるヴァイオリニスト、セルゲイ・ハチャトゥリアンは、1985年4月5日に首都エレバンで生を受けました。幼い頃からヴァイオリンの才能を示し、国際的な舞台へとそのキャリアを広げていきました。

彼の名を世界に知らしめたのは、若くして達成した二つの国際コンクールでの輝かしい成果です。2000年、フィンランドで開催された第8回シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールにおいて、史上最年少の15歳で優勝を果たしました。この勝利は、次世代を担う才能として世界から注目を集めるきっかけとなりました。さらに2005年には、ベルギーの権威あるエリザベート王妃国際音楽コンクールでも第1位を獲得。異なる性質を持つ二つの主要国際コンクールでの制覇は、彼の類稀なる音楽性と確かな技術力を証明しました。

コンクールでの成功後、彼は世界の主要なオーケストラやホールで演奏する機会を得ていきます。2001年3月にはロンドンで、ナイジェル・ケネディの代役としてイギリス室内オーケストラと共演し、ブルッフのヴァイオリン協奏曲を演奏しました。日本のNHK交響楽団とはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で共演し、この演奏は『N響アワー』で2004年度ベスト・ソリスト第2位に選ばれました。2006年8月4日には、オスモ・ヴァンスカ指揮のもと、ニューヨークのエイヴリー・フィッシャー・ホールでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏し、ニューヨーク・デビューを飾りました。以来、彼は世界各地の著名な指揮者やオーケストラと共演を重ね、国際的なヴァイオリニストとしての地位を確立しています。

彼の演奏には、日本音楽財団から貸与された歴史的な名器が用いられています。2009年4月から2011年1月にかけては1702年製ストラディヴァリウス「ロード・ニューランズ」を使用。2010年10月からは1740年製グァルネリ・デル・ジェス「イザイ」を使用しています。「イザイ」は、ベルギーの伝説的ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイが所有していたことでも知られる楽器であり、その豊かな響きは彼の音楽表現をより一層引き立てています。

録音活動も積極的に行っており、いくつかのアルバムをリリースしています。2004年3月にはシベリウスとハチャトゥリヤンのヴァイオリン協奏曲を収録したアルバムを、2007年1月にはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲をリリース。さらに2008年3月にはフランクとショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタ集を発表しており、彼の幅広いレパートリーと表現力を聴くことができます。

セルゲイ・ハチャトゥリアンは、二つの主要国際コンクールでの優勝を経て、世界各地で活躍する現代を代表するヴァイオリニストです。名器を駆使した深みのある演奏で聴衆を魅了し続けており、今後の更なる飛躍が期待されています。

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