セルジュ・ダネー

セルジュ・ダネー（Serge DANEY、1944年6月4日 - 1992年6月12日）は、フランスの著名な映画評論家です。彼は、映画批評の分野でその名を馳せ、『カイエ・デュ・シネマ』誌と『リベラシオン』誌というフランスを代表する二つのメディアで、独自の視点に基づいた批評を展開しました。

ダネーの批評は、単なる映画作品の評価にとどまらず、映画というメディアが持つ可能性や、社会における役割を深く考察したものでした。彼は、映画がどのように観客の意識や社会構造に影響を与えるかを分析し、映画批評を単なる芸術批評の枠を超えた、社会批評の一環として捉えていました。

特に、『カイエ・デュ・シネマ』誌での活動は、彼が映画批評家としてのキャリアを築く上で重要な役割を果たしました。同誌は、ヌーヴェルヴァーグの映画監督たちを輩出したことで知られていますが、ダネーは、そうした映画運動の潮流を踏まえつつ、独自の批評理論を打ち立てました。彼は、映画の形式的な側面だけでなく、その背後にあるイデオロギーや政治的なメッセージにも注目し、映画を社会現象として捉える視点を提示しました。

その後、ダネーは『リベラシオン』誌に移り、映画批評の執筆を続けました。ここでは、より幅広い読者層に向けて、映画というメディアの多様な側面を分析し、映画批評をより身近なものとしました。また、晩年にはテレビのイメージに焦点を当て、新たな批評理論を展開しました。彼は、テレビが人々の生活や意識に与える影響を深く考察し、テレビというメディアが持つ独特の特性を分析することで、映像批評の新たな地平を切り開きました。

ダネーの批評活動は、映画だけでなく、テレビという新たなメディアに対する考察を含め、映像批評全体に大きな影響を与えました。彼の著作は、現在も多くの人々によって読まれ、映像メディアの分析において重要なテキストとして参照されています。

1992年6月12日、彼はエイズのため、48歳という若さでこの世を去りましたが、その思想と批評は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

主な著作には以下のようなものがあります。

『La Rampe, cahier critique 1970-1982』（1983年）
『Ciné journal, 1981-1982』（1986年）
『Le Salaire du zappeur』（1988年）
『Recueil d'articles parus dans Libération à propos de la télévision Spécial cinéma soviétique』（1990年）
『L'exercice a été profitable, Monsieur』（1993年）
『Devant la recrudescence des vols de sacs à main : cinéma, télévision, information (1988-1991)』（1993年）
『不屈の精神』（1996年） - 日本語訳
『L'amateur de tennis : critiques 1980-1990』（1994年）
『Ciné journal. Volume II, 1983-1986』（1998年）
『La politique des auteurs』（2001年）
『Anthologie : entretiens avec 10 réalisateurs』
『La Maison cinéma et le monde. Tome 1, Le temps des Cahiers, 1962-1981』（2001年）
『La Maison cinéma et le monde. Tome 2, Les années Libé, 1981-1985』（2002年）
『La Maison cinéma et le monde. Tome 3, Les années Libé (la suite)』（2012年）

関連人物

ジャン・ドゥーシェ
セルジュ・トゥビアナ

外部リンク

Serge DANEY Liberation
Serge DANEY POL

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