南スラヴ語群

南スラヴ語群について

南スラヴ語群は、スラヴ語派に属する主要な３つの語群の一つで、主にバルカン半島地域で話されています。この語群は、旧ユーゴスラビア諸国（コソボを除く）とブルガリアで多数派を占めるほか、コソボ、アルバニア、ギリシャ、ルーマニア、トルコ、オーストリアなどでも、少数の話者が伝統的に居住しています。

バルカン言語連合との関わり

南スラヴ語群は、系統的にはルーマニア語、アルバニア語、ギリシャ語、トルコ語といった非スラヴ語族の言語とは異なります。しかし、バルカン半島という地理的な共通性から、これらの言語と相互に影響を与え合い、バルカン言語連合という言語圏を形成しています。

南スラヴ語群の分類

一般的に、南スラヴ語群は以下の二つのグループに分類されます。

西南スラヴ語群: スロベニア語とセルボ・クロアチア語が含まれます。
東南スラヴ語群: ブルガリア語とマケドニア語が含まれます。

ただし、実際には南スラヴ語群全体が方言連続体を形成しており、各言語やグループ間の境界は必ずしも明確ではありません。

セルボ・クロアチア語は、スロベニア語とマケドニア語・ブルガリア語の中間に位置し、カイ方言、チャ方言、シュト方言、トルラク方言という４つの主要な方言グループを持っています。このうち、カイ方言はスロベニア語に、トルラク方言はマケドニア語・ブルガリア語に近いとされています。

歴史的な背景

南スラヴ語群は、古代教会スラヴ語の基礎となった言語であり、東スラヴ語群や西スラヴ語群にも様々な影響を与えました。

南スラヴ語群に属する主な言語

以下に、南スラヴ語群に属する主な言語と、その方言について示します。

西南スラヴ語群

スロベニア語
スロベニア語とセルボ・クロアチア語の遷移方言
セルボ・クロアチア語
カイ方言（クロアチア語）
チャ方言（クロアチア語）
シュト方言
古シュト方言
コソボ＝レサヴァ方言（セルビア語）
ゼタ＝南サンジャク方言（セルビア語、ボスニア語、モンテネグロ語）
スラヴォニア方言（クロアチア語）
東ボスニア方言（クロアチア語、ボスニア語）
新シュト方言
シュマディヤ＝ヴォイヴォディナ方言（セルビア語）
ダルマチア＝ボスニア方言（クロアチア語、ボスニア語）
東ヘルツェゴビナ方言（セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語、及びこれら各々の標準語）
西南スラヴ語群と東南スラヴ語群の遷移方言
セルボ・クロアチア語トルラク方言（セルビア語）

東南スラヴ語群

マケドニア語
ブルガリア語

南スラヴ語が公用語となっている国

（※国・地域によっては南スラヴ語以外の言語も公用語となっている場合があります。）

スロベニア - スロベニア語
クロアチア - クロアチア語
ボスニア・ヘルツェゴビナ - ボスニア語、セルビア語、クロアチア語
モンテネグロ - モンテネグロ語（第一公用語）、セルビア語、ボスニア語、クロアチア語
セルビア - セルビア語（ヴォイヴォディナ自治州ではクロアチア語も）
コソボ - セルビア語
北マケドニア - マケドニア語
ブルガリア - ブルガリア語

その他の南スラヴ系の人々と方言

ブニェヴァツ人 - ブニェヴァツ語
ショカツ人 - ショカツ語
バナト・ブルガリア人 - バナト・ブルガリア語
ゴーラ人 - ゴーラ語

関連項目

スラヴ語派
南スラヴ人
バルカン半島

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