センカクモグラ

センカクモグラ (尖閣土竜、Mogera uchidai)

センカクモグラは、哺乳綱真無盲腸目のモグラ科に属する哺乳類で、尖閣諸島の魚釣島にのみ生息する固有種です。この種は1979年に初めて発見され、以来その生態や保護の重要性が注目されています。

分布

センカクモグラは、日本の尖閣諸島の一部である魚釣島にのみ見られる独特な生物です。この限られた地域に生息しているため、その生息域は極めて狭く、絶滅の危機にさらされています。

形態

このモグラの体長は約12.99センチメートル、尾の長さは1.2センチメートル、体重は約42.7グラムです。特に特徴的なのは、頭骨の吻が短く、歯の数が38本という点です。後足は1.6センチメートルの長さを持ち、他のモグラとは異なる独特の形状をしています。

分類

センカクモグラは1979年に海岸近くの草地で一頭の雌の個体が標本として採集され、これが唯一本種として知られる存在となりました。歯の数が他のモグラ専門誌と比べて少ないことから、これは別の新属、新種として記載されています。しかし2001年時点では、台湾近縁種であるタイワンモグラとの類似性が指摘され、これに基づきモグラ属に組み入れることが提案されました。物理的な標本は1976年の一例のみで、詳細な生態については未だに不明な点が多いのが現状です。

生態

センカクモグラは、一般に土壌層が発達しない熱帯域には生息しないというモグラ類の特性を持ちながら、魚釣島中部には比較的気温の低い雲霧林が存在するため、そこでの生態が考察されることがあります。この環境がセンカクモグラにとって適応する場を提供しているとも言われています。

人間との関係

センカクモグラは、非常に限定された地域にしか生息していないため、その生息数は元々少ないと考えられています。また、外来種のヤギが影響を与えており、1978年に与那国島から持ち込まれたヤギが、島の植生を変化させたり、土壌流出を引き起こしているとされています。1991年の調査では、南斜面に300頭以上のヤギが確認されており、島全体の生態系に対する懸念が高まっています。センカクモグラは2017年に沖縄県レッドリストで絶滅危惧IA類に指定されました。

保護活動

2010年には「センカクモグラを守る会」が設立され、センカクモグラに加え、センカクサワガニやセンカクツツジなど、魚釣島に生息する固有の動植物11種を守る活動が始まりました。この団体は日本政府に対して上陸調査を求めるなど、保護の重要性を訴えています。

参考文献

Ohdachi, S. D., Y. Ishibashi, M. A. Iwasa, and T. Saitoh eds. The Wild Mammals of Japan. Shoukadoh, Kyoto. 2009. ISBN 4879746266.

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