モグラ科

モグラ科（Talpidae）

モグラ科は、哺乳綱真無盲腸目に分類される科であり、地中生活に適応した動物として知られています。中国語では鼴、鼴鼠などと呼ばれ、学名「鼢」は齧歯目のモグラネズミを指すこともあります。

分布

モグラ科の動物は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布しています。地中に生息するイメージが強いですが、水辺に適応した種も存在します。例えば、ロシアデスマンはロシアの河川に、ピレネーデスマンはフランスやスペインの渓流に生息しています。また、ホシバナモグラは北アメリカの湿地に生息する半水生の種です。一方、ヒミズのように地表で獲物を探す種もいます。

形態

モグラ科の動物は、種によって大きさが異なります。ロシアデスマンは頭胴長18 - 21.5cm、尾長17 - 21.5cmですが、シナヒミズは体長6.3 - 9cm、尾長2.6 - 4.5cmです。体型は細長く、円筒形をしています。体毛は、モグラ類では短く、ヒミズ類では粗く、デスマン類では防水性の密な下毛と油質の上毛で覆われています。眼は小型で体毛に埋もれており、視覚はほとんど発達していません。ヒミズ類の一部を除き耳介はありません。鼻面は長く管状で、触覚が発達しています。特にモグラ類は前肢が大きく、土を掘るのに適した形状をしています。デスマン類は前肢と後肢に水かきがあり、水中で活動するのに適しています。陰茎は後方に向かい、陰嚢はありません。

分類

以前は食虫目に分類されていましたが、分子系統学的解析の結果、トガリネズミ形目に分類されることが提唱されています。

モグラ科は、アメリカモグラ亜科、モグラ亜科、ミミヒミズ亜科などに分類されます。それぞれに属する種は、生息地や形態、生態に多様性が見られます。

日本のモグラ

日本には、ヒミズ類と真性モグラ類が生息しています。ヒミズ類は地表での生活に適応しており、真性モグラ類は地中での生活に特化しています。コウベモグラとアズマモグラは分布域が異なり、コウベモグラが東側に生息域を広げつつあります。一方、コモグラやミズラモグラは生息域が減少し、絶滅が危惧されています。

日本のモグラの種類

ヒメヒミズ属：ヒメヒミズ
ヒミズ属：ヒミズ
ミズラモグラ属：ミズラモグラ
モグラ属：アズマモグラ、コウベモグラ、サドモグラ、センカクモグラ

人間との関係

モグラの毛皮は利用されることがありますが、農業やゴルフ場では害獣とみなされることもあります。農地開発や水質汚染、乱獲などにより生息数が減少している種もいます。

モグラに関する雑学

アリストテレスはモグラを唯一眼を持たない動物としましたが、実際にはメクラネズミを指していると考えられています。
西洋ではモグラは盲目の象徴とされ、キリスト教では改宗しない者の隠喩として用いられます。
モグラの巣の近くには特定のキノコが生えることがあり、これはモグラの糞尿の分解によって生じるアンモニアが関係しています。
地下道やトンネルを「モグラ」と呼ぶことがあります。
諜報機関では、二重スパイのことを「Mole」と呼びます。
モグラは常に地中を掘り続けているわけではなく、先祖代々受け継がれてきたトンネルを利用しています。
モグラが農作物を食害するという誤解がありますが、実際にはモグラのトンネルを利用したネズミなどが食害しています。

関連項目

フクロモグラ
* キンモグラ科

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