センダイムシクイ

センダイムシクイ（仙台虫喰）

センダイムシクイ（学名：Phylloscopus coronatus）は、スズメ目ムシクイ科に属する鳥類の一種です。東アジア地域に分布し、日本では夏鳥として親しまれています。

分布

センダイムシクイは、繁殖期には中華人民共和国北東部、日本、ロシア南東部、朝鮮半島などで見られます。冬季になると、マレー半島、ジャワ島、スマトラ島などの東南アジア地域へ渡り越冬します。日本では、九州以北に繁殖のため飛来する夏鳥です。

形態

ムシクイ類は種間の形態差が小さく、識別が難しいグループとして知られています。センダイムシクイは全長約12.5cmで、体の上面は淡い緑褐色をしています。下面は白い羽毛で覆われていますが、体側面から腹部にかけては黄色や緑褐色が混じります。頭部には、不明瞭な淡白色の頭央線があり、眉状の斑紋（眉斑）は淡黄色で明瞭です。大雨覆には淡黄色の斑紋が見られます。嘴は、上嘴が黒褐色、下嘴がオレンジ色をしています。後肢は褐色です。

分類

以前は、P. occipitalis に対応する和名がセンダイムシクイでしたが、分布域東部の亜種センダイムシクイ（P. o. coronatus）が独立種とされたため、現在は P. coronatus に対応する和名がセンダイムシクイとなっています。

生態

センダイムシクイは、落葉広葉樹林に生息し、単独またはペアで生活します。食性は動物食で、昆虫や節足動物などを主に食べます。樹上を移動しながら、木の葉の裏などにいる獲物を捕食します。

繁殖形態は卵生で、植物の根元に枯れ葉などを集めて球状の巣を作ります。5月から6月にかけて、1回に4〜6個の卵を産みます。抱卵期間は約13〜16日間で、雛は約14日で巣立ちます。また、センダイムシクイはツツドリの托卵対象となることがあります。

人間との関係

センダイムシクイの囀りは、「焼酎1杯グイ」や「鶴千代君」と聞きなされることがあり、親しみやすい鳥として知られています。

参考文献

安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、204 - 205頁。
五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版、2004年、242頁。
黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、156頁。
高野伸二編 『山渓カラー名鑑 日本の野鳥 特装版』、山と渓谷社、1985年、466頁。
高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、256 - 257頁。
中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、31、61、205頁。
* 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、515頁。

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