センダスト

センダスト（Sendust）は、鉄（Fe）、ケイ素（Si）、アルミニウム（Al）を主成分とする三元合金であり、特にFe-10Si-5Alの組成が基本とされています。この合金は、1932年に東北大学金属材料研究所の増本量らによって発明されました。

発明の背景と名称の由来

センダストという名称は、この合金が発明された場所である仙台（Sendai）と、主に圧粉磁心（Dust Core）の材料として利用されたことに由来します。実用化に向けては、東北金属工業株式会社（現・トーキン）が設立され、その後の発展を支えました。

センダストの特性

センダストは、高い飽和磁束密度と透磁率を有し、鉄損が小さく、耐摩耗性に優れているという特徴があります。これらの特性から、音響機器や映像機器の磁気ヘッドなど、幅広い分野で利用されています。

一般的な特性としては、透磁率（μmax）が120,000、保磁力が0.1 A/m以下、飽和磁束密度が10 Tと非常に優れています。

組成と磁気特性

開発当初のセンダストの組成は、Fe-9.6%Si-5.4%Al（重量％）でした。この組成の近傍では、磁歪定数と磁気異方性定数がほぼゼロとなるため、高い透磁率と低い保磁力を両立できます。この合金は、金属間化合物としての性質が強く、具体的にはFe3SiとFe3Alの混晶です。そのため、硬く脆く加工は難しいですが、粉砕して粉末状にすることは容易です。

課題と改良

センダストの磁気損失は、常温以上で温度上昇とともに増加する傾向があります。そのため、損失の温度特性を改善するための組成開発が進められてきました。また、諸性能を向上させるために、Si/Alの比率を微調整したり、微量の添加物を加えたりする改良も行われており、「スーパーセンダスト」や「スーパーセンダストII」といった改良版も開発されています。

組成例

以下に、センダストの代表的な組成例を挙げます。

Fe - 10%Si - 5%Al
Fe - 9.5%Si - 5.5%Al
Fe - 6.0%Si - 4.0%Al - 3.2%Ni：スーパーセンダスト
Fe - 6.2%Si - 5.4%Al - 1.0%Ni：スーパーセンダストII

関連項目

東北大学金属材料研究所
トーキン

外部リンク

山本達治、高透磁率合金センダストの発見とその歩み
高橋研、最近の鉄系薄膜磁気ヘッド材料－センダスト合金例として－

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