トーキン

株式会社トーキン：歴史と現状、そして未来

株式会社トーキンは、宮城県に本社を置く電子部品メーカーです。電気部品・電子部品の製造販売を主な事業としており、長年にわたり日本の電子産業を支えてきました。しかし、その歴史は順風満帆とは言い難く、幾多の困難を乗り越えてきた企業でもあります。

設立からNEC傘下時代へ

1938年の設立以来、トーキンは通信機器用金属材料の国産化に貢献してきました。東北大学金属材料研究所の発明であるセンダストの工業化にも携わり、技術開発を重視した企業として発展を遂げました。1961年には東証2部に上場、その後1部に指定替えされるなど、順調な成長を続けました。しかし、1978年の宮城県沖地震による被害や、2000年代初頭の電池事業におけるリストラクチャリングによる赤字決算など、幾度かの危機に見舞われました。

2008年のリーマンショックによる世界的な景気減速は、トーキンにとって大きな打撃となりました。主力商品の電子部品の売上が急減し、債務超過に陥ったのです。この危機を乗り越えるため、トーキンはNECとの資本提携に踏み切ります。2009年、第三者割当増資と株式交換を経て、NECの完全子会社となり、東証上場廃止となりました。

KEMETとの提携と新たな展開

NEC傘下時代、トーキンは業績不振に苦しみましたが、スマートフォン向け製品などの新製品が好調となり、コンデンサー事業において受注が急増。2015年には4期ぶりに黒字転換を果たしました。そして、2012年には米国の電子部品会社であるKEMET Corporationと資本・業務提携契約を締結。この提携により、トーキンは新たな経営体制を築き、事業拡大を目指しました。フィリピン工場の拡張など、積極的な投資を行い、生産能力の向上を図りました。

2017年には、KEMET CorporationがNECからトーキンの全株式を取得し、完全子会社となりました。これに伴い、社名は再び「株式会社トーキン」に戻されました。同時に、EMデバイス事業を分社化し、投資ファンドに売却するなど、事業再編も進められました。NECグループからの離脱により、トーキンは新たなステージへと進みました。

スポーツとの関わり

トーキンは、企業としてスポーツにも積極的に関与してきました。NECトーキンサッカー部を擁し、地域社会への貢献にも力を入れてきました。また、Jリーグのベガルタ仙台のスポンサーを務めたこともあります。NECグループを離脱した後も、白石事業所サッカー部は活動を続け、現在も仙南サッカーリーグに所属しています。

現在と未来

現在、トーキンはKEMET Corporation傘下として、世界市場で競争力を高めようと努力しています。積極的な投資、事業再編、そして技術開発を通じて、更なる発展を目指しているのです。過去の経営危機や独禁法違反による罰金など、幾多の困難を乗り越えてきたトーキンの歴史は、まさに挑戦の歴史と言えるでしょう。今後の展開にも注目が集まります。

主要関係会社

NT販売株式会社
株式会社トーキンEMCエンジニアリング
TOKIN America Inc.
TOKIN Europe GmbH
* TOKIN Electronics (Thailand) Co.,Ltd.

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