セントクリストファー・ネイビスの国章

セントクリストファー・ネイビスの国章は、1983年9月19日に制定された、この国の歴史、文化、自然を象徴する徽章です。その構成要素は、上下に分割された盾、盾を支える二羽の鳥と植物、盾の上部に配置された兜と兜飾り、そして盾の下に記された標語を記したリボンから成り立っています。

構成の詳細

盾は、上部のチーフ部分と下部に分かれています。チーフは青色で、その中には、向かって左側（デクスターチーフ）にフランスを象徴する金の百合、中央（ミドルチーフ）にカリブの原住民の頭、そして向かって右側（シニスターチーフ）にイギリスを象徴するテューダー・ローズ（紅白のバラの紋章）が描かれています。下部は白地に赤いシェヴロン（山型の帯）が入り、シェヴロンの上には国花のポインシアナ（和名：オオゴチョウ）の花が二輪、シェヴロンの下にはセントクリストファー島とネイビス島を結ぶ船が描かれています。

盾の両脇には、国を象徴するサポーターが配置されています。左側には国鳥であるペリカンと、国民の生活を支えるヤシの木、右側には主要な産物であるサトウキビが描かれています。

盾の上部には、マントを結び付けた兜が置かれています。兜飾りは、松明を掲げる腕で表現され、これは国民の自由への強い意志を象徴しています。

盾の下部には、英語で「Country Above Self（個人を超越する国家）」という標語が記されたリボンが配されています。この標語は、国家の団結と国民全体の利益を優先するという、セントクリストファー・ネイビスの精神を表しています。

国章に込められた意味

国章のデザインは、セントクリストファー・ネイビスの歴史と文化、そして自然を反映しています。フランスの百合、イギリスのテューダー・ローズは、この国がかつてフランスとイギリスの植民地であった歴史を示唆しています。カリブの原住民の頭は、この地に古くから住む人々の存在を、そしてポインシアナの花は、国の豊かな自然を表しています。ペリカン、ヤシ、サトウキビは、国の経済と国民の生活を支える重要な要素です。松明を掲げる腕は、自由への希求を象徴し、標語は国家の団結と国民の献身を促しています。

セントクリストファー・ネイビスの国章は、これらの要素を通じて、国のアイデンティティと価値観を視覚的に表現しています。

参考文献

苅安望 『世界の国旗と国章大図鑑 三訂版』 平凡社 ISBN 978-4-582-40735-8
印南博之『西洋紋章パヴィリオン その形や色に隠されたドラマ』 東京美術 ISBN 4-8087-0571-0

関連項目

国章の一覧
セントクリストファー・ネイビスの国旗

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