セーケイ・ベルタラン

セーケイ・ベルタラン：ハンガリーの歴史を描いた巨匠

セーケイ・ベルタラン（Ádámosi Székely Bertalan, 1835年5月8日 - 1910年8月21日）は、19世紀ハンガリーを代表する画家の一人です。コロジュヴァール（現在のルーマニア領）に生まれ、ブダペストで没しました。

生涯

トランシルヴァニアのハンガリー貴族の家系に生まれたセーケイは、ウィーンの帝国美術アカデミーで絵画を学びました。ヨハン・ネポムク・ガイガーやカール・ラールといった著名な画家に師事し、その才能を開花させました。その後、トランシルヴァニアに戻り絵画教師として活動した後、マルヒェンドルフのアイヒェルブルク伯爵に仕えました。1858年には、Jeanette Kudrna と結婚しています。

1859年、セーケイはミュンヘンに留学し、カール・フォン・ピロティのもとで歴史画を研究しました。この留学が、セーケイの画業に大きな影響を与えました。激動の時代であった当時のハンガリーにおいて、セーケイは歴史画を通して民族のアイデンティティを表現しようと試みました。ドイツから帰国後、彼は作品を通して、ハンガリーの栄光の過去と未来について、同時代の人々に問いかけました。

1862年にペシュトに移住したセーケイは、1863年のコンクールで『神聖ローマ皇帝カール7世の逃走』で優勝し、その賞金でオランダとパリへ旅行しました。1870年代には、叙情的な作品も手掛け、「女性の一生」の連作や「小舟の上の愛し合う二人」などを制作しました。1880年以降は壁画制作にも力を注ぎ、ブダ城の聖母被昇天教会、ペーチの大聖堂、ハンガリー国立歌劇場、ケチケメート市庁舎などで、彼の壁画を見ることができます。また、1871年からは装飾芸術大学（現在のハンガリー国立芸術大学）で教鞭をとり、1902年には学長に就任しました。

セーケイは晩年、エドワード・マイブリッジやエティエンヌ＝ジュール・マレイの動画像技術に関心を寄せ、1905年の映画『II. mesteriskola』では監督としてクレジットされています。また、文学作品も残しました。ペシュト近郊のサダにある彼の邸宅は、現在記念館として公開されています。

作品の特徴

セーケイ・ベルタランの作品は、ロマン主義とアカデミスムの様式を融合させた重厚な歴史画が特徴です。彼は、ハンガリーの歴史上の重要な出来事や人物を題材とし、民族の誇りやアイデンティティを表現しました。代表作としては、『ラヨシュ2世の遺体の発見』『エゲル城の女たち』『モハーチの戦い』『ラースロー5世とウルリク2世』などがあります。

しかし、セーケイの才能は歴史画にとどまりません。彼は、西ヨーロッパへの旅行を通して、当時の最新の芸術思潮や技術に触れ、円熟期以降には、ジャポニスムの影響を受けた作品や、映画制作にも挑戦しました。彼の作品は、その多才さと、常に新しい表現を追求する姿勢を示しています。

セーケイ・ベルタランは、ハンガリーの歴史と文化を深く理解し、それを芸術を通して表現した偉大な画家です。彼の作品は、今もなお、多くの人々に感動を与え続けています。

主要作品

ラヨシュ2世の遺体の発見
エゲル城の女たち
モハーチの戦い
ラースロー5世とウルリク2世
* 日本女性

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