ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ

概要

ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ（Them Crooked Vultures）は、ロック界にその名を刻む著名なミュージシャンたちが集結して誕生したスーパーグループである。メンバーは、伝説的なバンドであるレッド・ツェッペリン、ニルヴァーナ、そしてカイアスのかつての主要メンバーから構成されており、その顔ぶれは音楽ファンに大きな衝撃を与えた。2009年夏、アメリカ合衆国のロサンゼルスで結成され、短期間ながらも濃密な活動を展開し、高い音楽性とパフォーマンスで評価を得た。

来歴

このプロジェクトの構想は、元ニルヴァーナのドラマーであり、フー・ファイターズのフロントマンとして活躍するデイヴ・グロールによって、2005年頃には既に示唆されていた。しかし、具体的な計画が動き出したのは数年後の2009年に入ってからである。同年7月にはレコーディング作業が本格的に開始され、早くも8月9日にはシカゴにて初のライブパフォーマンスを敢行した。

その後、バンドは精力的にヨーロッパ各地を巡るツアーを敢行。ライブ活動と並行してアルバム制作を進め、同年11月16日には満を持してセルフタイトルのデビューアルバム『ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ』をリリースした。このアルバムは、メンバーそれぞれの持つ多様な音楽的背景が見事に融合した作品として、批評家からも高い評価を獲得した。

2010年は、このデビューアルバムを引っ提げたライブ活動が中心となった。世界各地で公演を行い、その中には同年7月30日に新潟県苗場スキー場で開催されたフジロックフェスティバルへの出演も含まれる。日本のファンにとっても待望の機会となった。

翌2011年には、デビューアルバムに収録された楽曲「ニュー・ファング」（New Fang）が、第53回グラミー賞において最優秀ハード・ロック・パフォーマンス賞を受賞。彼らの実力と影響力の大きさを証明する形となった。

バンドはその後、一時的に活動休止状態に入るが、2012年秋にはメンバーから活動再開への意向が明らかにされている。

メンバー

ゼム・クルックド・ヴァルチャーズの核をなすのは、ロック史における重要なバンドで活躍した3人の正式メンバーである。

ジョシュ・オム (Josh Homme)
ギター、ボーカルを担当。オルタナティヴ・ロックバンド、カイアスの元メンバーであり、現在はクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの中心人物として知られる。独特のギターリフとボーカルでバンドのサウンドに貢献している。

ジョン・ポール・ジョーンズ (John Paul Jones)
ベース、キーボード、マンドリン、ヴァイオリンなど、マルチプレイヤーとしてバンドを支える。言わずと知れたロックバンド、レッド・ツェッペリンの元ベーシストであり、その卓越した演奏技術と音楽知識は、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズの楽曲に深みと多様性をもたらしている。

デイヴ・グロール (Dave Grohl)
ドラムス、パーカッション、バッキングボーカルを担当。グランジの象徴的バンドであるニルヴァーナの元ドラマーであり、現在は人気ロックバンド、フー・ファイターズのフロントマンとしても活躍している。そのパワフルかつグルーヴィーなドラミングは、バンドの骨格を成す。

サポートメンバー

ライブ活動などでは、サポートメンバーも参加した。

アラン・ジョハネス (Alain Johannes)
ギター、ベース、キーボード、バッキングボーカルを担当。ワット・イズ・ディス？（What Is This?）やイレブン（Eleven）といったバンドでの活動経験を持ち、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのサポートメンバーとしても知られる。多様な楽器を操り、バンドのサウンドを豊かにしている。

ディスコグラフィ

アルバム
『ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ』 - Them Crooked Vultures (2009年)

シングル
"New Fang" (2009年)
"Mind Eraser, No Chaser" (2009年)

来日公演

バンドは2010年に日本での公演を行った。

2010年7月28日: 東京都 SHIBUYA-AX (オープニングアクトはMGMT)
* 2010年7月30日: フジロックフェスティバル出演

著名なミュージシャンたちの稀有なコラボレーションとして、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズの活動は短期間ながらもロック史において重要な位置を占めている。

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