ソウル特別市地下鉄公社2000系電車 (初代)

ソウル特別市地下鉄公社2000系電車

1980年、ソウル特別市地下鉄公社（現在のソウル交通公社）が2号線開業に合わせて導入した通勤形電車です。当初から冷房装置を備えており、これはソウル市内の地下鉄車両としては初の試みでした。一部の車両は、2017年のソウル交通公社発足に伴い同社に継承され、主に2号線で使用されました。

技術的特徴と製造

この系列には、登場時期によって制御方式が異なります。初期に製造された車両の一部は抵抗制御でしたが、1983年度以降に投入された車両では、韓国の鉄道車両として初めてとなる電機子チョッパ制御が採用されました。この電機子チョッパ制御装置は三菱電機製です。

車両製造においては、日本の技術支援を受けつつも国産化が推進されました。大宇重工業が製造した車両の場合、集電装置などを除く約7割から8割の部品が韓国国内で生産されていますが、ブレーキ装置などの一部主要部品については日本の技術協力のもと国内生産が行われました。

車体構造は、旧3000系からの転用車や中間車を改造した先頭車を除き、前面に扉がない非貫通型が特徴です。

系列ごとの詳細

MELCOチョッパ制御車

1980年から1993年にかけて、抵抗制御車とチョッパ制御車合わせて計39編成が登場しました。抵抗制御車には日立製の制御装置、チョッパ車には三菱電機製の制御装置が搭載されています。台車には日本車輌製造製のND-310が採用され、コイルばねと空気ばねを組み合わせることで乗り心地の向上が図られました。制動装置はアナログ演算式の電気指令式ブレーキが採用されています。

最初の車両は日本の日本車輌製造で製造され、韓国国内メーカーへのノックダウン生産方式がとられました。そのため、車体銘板には韓国メーカーの名前が刻まれています。長期間製造されたため、登場時期によって側窓の形状などの細部が異なります。方向幕は後にLED表示機への換装が進められました。

編成は当初4両または6両でしたが、1986年から1992年にかけて中間車が増備され、環状線用の一部編成は10両編成となりました。補助電源装置も、初期の電動発電機から静止形インバータへの換装が進められました。

MELCOチョッパ制御車の原型車は、老朽化や新2000系への置き換えにより廃車が進み、2020年4月までに最後まで残っていた編成が営業運転を終了し、全廃となりました。先頭車化改造編成も同様の理由で置き換えが進められ、2021年3月をもって2号線での運用を終えました。

特定の編成では事故や故障も発生しています。2014年には追突事故により2編成が廃車されました。2005年には抵抗制御車の一部が廃車され、代わりにチョッパ制御車が改番の上、その番号を引き継ぎました。また、2017年には床下機器の発火による運用停止・修理を経て、後に廃車となった編成もありました。

支線で運用されていた抵抗制御車の先頭車化改造編成も、聖水支線用は2021年4月に、新亭支線用は2023年3月までに置き換えが完了し、全廃されています。新亭支線では、運用中の編成が火災を起こし早期廃車となる事態も発生し、一時的に代替車両が投入されました。

GECチョッパ制御車

1984年に1次車、1994年に2次車が製造されました。1次車は当初6両編成でしたが、後に中間車が増備されて10両化されました。1次車は法定耐用年数に達したため、2008年に廃車されましたが、経年の新しい中間車の一部は他の系列へ転用されました。

2次車および先頭車化改造編成の一部は2018年頃まで在籍していました。しかし、新2000系4次車の投入に伴い廃車が進行し、2019年には車両基地内での事故により廃車となった編成があります。残存していたGECチョッパ制御車および先頭車化改造編成も、2020年11月から12月にかけて順次運用を終え、2020年7月までに全廃となりました。これらが2号線最後のGECチョッパ制御車となりました。

旧3000系2000番台

元々は3号線や4号線で使用されていた旧3000系ですが、2号線に転属した際に2000番台に編入されました。転属当初は元の路線の塗装でしたが、誤乗防止のため速やかに2号線の塗装に変更されました。1985年製造の2編成は2009年に廃車されています。その他、2017年頃には電装品の重大な故障により早期廃車となった編成もありました。新2000系の導入に伴う置き換えが進み、2020年までにこのグループも全編成が廃車となりました。

編成

運行区間によって編成両数が異なりました。循環線（環状線）では10両編成（電動車6両＋付随車4両）、新亭支線では6両編成（電動車4両＋付随車2両）、聖水支線では4両編成（電動車4両）でそれぞれ運用されていました。

その他の情報

廃車となった中間車の一部は、2009年にベトナム国鉄へ譲渡されました。現地では客車として改造され、長距離列車などで使用されましたが、2019年3月現在では運用を離脱しています。また、一部車両は宗教団体に売却され、施設内に保管されています。

抵抗制御車のトップナンバーである201編成（4両編成）は、聖水支線での運用を終えた後、新亭車両基地に保管されており、保存されています。

この系列は、ソウル地下鉄の黎明期を支え、長年にわたり活躍しましたが、車両の老朽化や後継車両の導入により、惜しまれつつもその役目を終えました。

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