ソウル西南部連続殺人事件

ソウル西南部連続殺人事件

ソウル西南部連続殺人事件とは、2004年2月26日から翌2005年にかけて、主に大韓民国のソウル特別市冠岳区、九老区、銅雀区、永登浦区といったソウル市西南部地域を中心に発生した、一連の殺人、放火、および暴行事件の総称です。この凄惨な事件により、最終的に13人が犠牲となり、20人が負傷する結果となりました。

事件の経過

2004年の連続犯行

事件の始まりは2004年2月、永登浦区大林洞で発生した店主殺害事件に端を発します。この最初の犯行から約2ヶ月後、同時期にソウルで発生していた別の連続殺人事件（ソウル20人連続殺人事件）の犯人が逮捕されました。当初、捜査当局はこれらの事件も同一犯によるものではないかとの見方を強めていました。

しかし、犯行の手口に明確な違いが見られたことから、この可能性は次第に薄れていきます。例えば、ソウル20人連続殺人事件の犯行が主に撲殺であったのに対し、この事件では刺殺が中心でした。さらに、同年8月4日に京畿道安養市で発生した住居侵入および傷害事件において、被害者が重傷を負ったものの生還したことで、ソウル20人連続殺人事件の犯人とは別の人物による犯行である可能性が確実視されることとなりました。

2005年以降の犯行と手口の変化

犯行は一時的に沈静化しましたが、翌2005年の夏頃になると再び活動を再開します。2004年の犯行は主に通り魔的な性質を持ち、屋外での殺害や暴行、傷害が中心でした。しかし、2005年以降は犯行の様相が一変します。戸締まりが不十分な住宅を狙った侵入犯行が中心となり、さらに犯行後に放火を伴うケースも頻繁に発生するようになりました。

この時期の犯行で特に悲劇的だったのは、江北区で発生した事件です。重傷を負いながらも一命を取り留めた父親が、一時的に事件への関与を疑われ、逮捕されるという誤認捜査が発生しました。この誤認により、彼は自宅や子供たちを失っただけでなく、最愛の妻とも離婚に追い込まれるという、筆舌に尽くしがたい苦しみを味わうことになります。後に真犯人が逮捕されたものの、捜査当局からこの誤認捜査に対する正式な釈明や謝罪は一切行われませんでした。

犯人の逮捕と結末

事件が終息へと向かうのは2006年です。同年4月22日午前4時40分頃、ソウル市永登浦区新吉洞の住宅に何者かが侵入しました。この時、住人の24歳男性は負傷しながらも犯人に果敢に抵抗しました。男性の抵抗により犯人は現場から逃走しますが、通報を受けた捜査当局は即座に一帯に非常線を張り、徹底的な捜索を開始します。その結果、同日午前7時30分、事件現場付近で容疑者のチョン・ナムギュが発見され、逮捕されました。

逮捕されたチョン・ナムギュは、一連の事件の犯人として起訴され、裁判にかけられます。裁判を経て、彼は翌2007年に最高裁で死刑判決が確定しました。しかし、刑が執行される前の2009年、チョン・ナムギュは収監されていたソウル拘置所で自殺を図り、その生涯を終えました。この事件は、一人のシリアルキラーによる凶行が、多くの尊い命と人々の平穏な生活を奪い、また誤った捜査が一家族に悲劇をもたらすという、社会に深い衝撃と教訓を残すこととなりました。

関連項目：シリアルキラー

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