ソムチャーイ・ウォンサワット

ソムチャーイ・ウォンサワット（Somchai Wongsawat）は、1947年8月31日生まれのタイの政治家です。彼はタイの第34代首相を務めた人物で、その政治キャリアは波乱に満ちたものでした。日本では「ソムチャイ」として知られています。

生い立ちとキャリア初期

ソムチャーイはナコーンシータンマラート県出身で、タンマサート大学法学部を卒業後、1973年に司法試験に合格し、弁護士の資格を取得しました。その後、彼は裁判官としてキャリアを積み、1999年には法務次官、2006年には労働次官を務めるなど、法曹界で重要な役割を担いました。

政治家への転身

2006年の軍事クーデター後、ソムチャーイは政治の世界に足を踏み入れます。2007年には国民の力党（PPP）の副党首に就任し、同年の12月に行われたタイ下院選挙で当選を果たしました。これにより、彼は政治家としての新たなスタートを切りました。

首相就任と政権崩壊

2008年2月、ソムチャーイはサマック・スントラウェート政権において副首相兼教育相に任命されました。しかし、政権は長くは続きませんでした。憲法裁判所による司法クーデターによってサマック首相が失職すると、ソムチャーイは9月9日に首相臨時代理に就任し、その後、国会での首班指名を経て、9月17日に正式に首相に就任しました。

しかし、ソムチャーイの首相としての道のりは困難を極めました。反タクシン派の民主市民連合（PAD）による首相府占拠やスワンナプーム国際空港占拠などの過激なデモ活動が頻発し、バンコクをはじめとする国内は混乱に陥りました。このような状況下で、12月2日には憲法裁判所による司法クーデターが発生しました。

この司法クーデターにより、2007年12月総選挙における組織的な選挙違反が表向きの理由とされ、国民の力党は解党処分となりました。さらに、ソムチャーイ首相を含む党幹部は5年間の公民権を剥奪するという違憲判決が下されました。この結果、ソムチャーイ政権は、首相就任からわずか2ヶ月半で崩壊するという短い期間で幕を閉じました。

親族

ソムチャーイの妻は、元首相であるタクシン・シナワットの妹です。また、彼の長女も下院議員に当選しており、政治的な家系であることがわかります。

ソムチャーイ・ウォンサワットは、法曹界から政治の世界へと転身し、タイの首相という重要な役職を経験しましたが、国内の政治的混乱と司法の介入により、その政権は短期間で終わりました。彼のキャリアは、タイの現代政治における複雑な状況と、政治的変動の影響を物語る一例と言えるでしょう。

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