サマック・スントラウェート

サマック・スントラウェート（タイ語: สมัคร สุนทรเวช、英語: Samak Sundaravej、1935年6月13日 - 2009年11月24日）は、タイの政治家であり、下院議員、そして第33代首相を務めた人物です。

彼は、王室への熱烈な忠誠心を持つ勤王家として知られる一方で、一匹狼的な行動や率直な発言も目立つ個性派の政治家でした。また、料理を趣味とし、長年にわたり自身の料理番組で腕を披露するなど、国民的な認知度も非常に高かったことで知られています。

生い立ちと政界入り

旧貴族の出身であるサマックは、タマサート大学を卒業後、1971年にバンコク都議会議員に選出され政界入りを果たしました。1975年には、学生革命で社会が騒然とする中、下院議員となり中央政界へと進出しました。その後、1977年には早くもタニン内閣の内相に就任するなど、その政治手腕を発揮し始めます。

要職歴任

その後、プレーム内閣、チャチャイ内閣などでは運輸通信大臣として、またスチンダー内閣、バンハーン内閣、チャワリット内閣などでは副首相として入閣し、枢要な役職を歴任しました。さらに2000年からはバンコク都知事を務めるなど、そのキャリアは多岐にわたりました。この間、サマックは一貫してインフラストラクチャー整備などの大型プロジェクトに力を注ぎました。

人民の力党への合流と首相就任

2007年、憲法裁判所がタイ愛国党に対して解党判決を下した後、旧愛国党に近い勢力は、上院選挙出馬のため無所属であったサマックの周囲に集結しました。こうしてサマックを先頭に、旧愛国党勢力は人民の力党に大挙入党し、勢力を維持することに成功しました。

2007年12月の総選挙では、人民の力党が第1党に躍進し、人民の力党、国民党、国家貢献党、タイ団結国家開発党、中道主義党、臣民党の6党からなるサマック政権が発足しました。しかし、旧愛国党の多数の勢力に首相として担がれたことや、「タクシンの代理人」と公言していたことなどから、サマックはタクシン元首相の操り人形に過ぎないという批判も存在しました。一方で、サマック自身の強烈な個性を考えると、簡単にタクシンの思い通りにはならないだろうと予想する人々もいました。

首相辞任とその後

2008年9月、サマック首相の辞任を求め、首相府を占拠していた政治団体の民主市民連合と、サマック政権を支持する政治団体の反独裁民主戦線が衝突しました。この衝突で反独裁民主戦線側の男性1人が死亡、約40人が負傷するという事態が発生しました。この事態を受け、サマックはバンコクに非常事態宣言を発令しましたが、軍は静観を決め込み、事態は膠着しました。

そのような中、9日にはタイの憲法裁判所が、サマックがテレビの料理番組に出演し報酬を得ていたことが、憲法で定められた「首相の副業禁止条項」に抵触するという違憲判断を下しました。この判断を受け、サマック内閣は総辞職し、ソムチャーイ・ウォンサワットに政権を譲ることとなりました。

首相辞任後は闘病生活を送っていましたが、2009年11月24日朝、肝臓がんのためバンコクの病院で死去しました。

関連事項

* タイの政治

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