ソユーズ22号

ソユーズ22号（Soyuz 22、ロシア語: Союз 22）は、1976年9月15日に打ち上げられ、約1週間にわたって行われたソビエト連邦による有人宇宙飛行です。このミッションは、主に地球科学的な観測と研究を目的としていましたが、その特殊な軌道から、当時ノルウェー近郊で行われていた北大西洋条約機構（NATO）の軍事演習を観測する意図もあった可能性が指摘されています。使用された宇宙船は、前年のアポロ・ソユーズテスト計画で予備機として準備されていた機体を改修して活用されました。

搭乗員として選ばれたのは、2度目の宇宙飛行となるヴァレリー・ブィコフスキー船長と、今回が初の宇宙飛行経験となるフライトエンジニアのウラジーミル・アクショーノフの2名の宇宙飛行士でした。

ソユーズ22号は、過去のボスホート計画以来となる高い軌道傾斜角64.75度（後に64.8度として報告）の軌道に投入されました。これは、一般的なソ連の宇宙ステーションの軌道（約51.8度）では捉えにくい高緯度地域、特に旧東ドイツ（ドイツ民主共和国）やソビエト連邦北部の地表を広範囲にカバーすることを可能にする軌道でした。ミッションの公式目的は、「技術の確認と改良、ソビエト連邦およびドイツ民主共和国の国益に資する地球表面の地形研究」とされています。

ミッションの主要な活動は、東ドイツのカール・ツァイス社が開発した高精度マルチスペクトルカメラ「MKF-6」を用いた地球の地表撮影でした。このカメラは、一度に6種類の波長帯（可視光4つ、赤外線2つ）で同時撮影が可能で、幅165kmの帯状の範囲を効率的に観測できました。軌道上で宇宙飛行士の一人がカメラを操作し、もう一人が降下モジュールから機体の向きを調整するという連携で撮影が行われました。撮影対象には、建設中のバイカル・アムール鉄道、シベリア、オホーツク海、中央アジア、カザフスタン、旧東ドイツなど、多岐にわたる地域が含まれ、地層や農業の影響、地形などの研究に資するデータが収集されました。地球の大気状態を把握するため、月の出と月の入りも撮影されました。

地球観測に加えて、いくつかの生物学実験も実施されました。軌道モジュール内で弱い遠心力を発生させ、人工重力環境下での植物の生育を観察する実験や、宇宙線が人間の視覚に与える影響（宇宙飛行士が報告する光の閃光現象）に関する調査が行われました。また、小型水槽を用いて宇宙環境での魚の行動を観察する試みも含まれていました。

約1週間の軌道上での活動を終え、乗組員は撮影済みのフィルムカセットや実験サンプルなどを降下モジュールに移動させました。1976年9月23日、逆噴射による軌道離脱、大気圏再突入、そして着陸といった一連の帰還プロセスは順調に進行し、ミッションは無事に完了しました。ミッション全体で、30カ所以上の地域において合計2400枚もの高品質な写真が得られました。これらの貴重なデータは、農業、地図作成、鉱業、水文学といった様々な分野の研究および実務に広く活用され、ソユーズ22号ミッションは地球資源探査における宇宙からの観測技術の有効性を実証する成功事例となりました。

ミッションパラメータ:
質量: 6,510 kg
近点: 185 km
遠点: 296 km
軌道傾斜角: 64.8°
* 軌道周期: 89.3分

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