ソユーズTM-19

ソユーズTM-19

ソユーズTM-19は、ロシア（当時）の宇宙船ソユーズTMシリーズによる、宇宙ステーション「ミール」への人員輸送と物資補給を目的とした通算19回目の有人宇宙船によるミッションです。この宇宙船のコールサインは「アガート（メノウ）」でした。

特徴的な乗組員構成

このミッションに搭乗したユーリ・マレンチェンコ機長とタルガット・ムサバイエフフライトエンジニアは、いずれも今回が初の宇宙飛行となりました。当初の計画では、経験豊富なベテラン宇宙飛行士であるゲンナジー・ストレカロフも彼らと共に宇宙へ向かい、数日間のミール滞在後に別の宇宙船ソユーズTM-18で地球に帰還する予定でした。

しかし、乗組員の物資をミールへ運ぶ予定だった2機のプログレス補給船のうち1機の打ち上げが中止されたため、ストレカロフがソユーズTM-19に搭乗するための物資が不足するという事態が発生しました。こうした経緯から、当初予定されていたベテラン宇宙飛行士の搭乗が見送られ、異例ともいえる「新人宇宙飛行士コンビ」での飛行となりました。

ミッションの経過

1994年7月1日に打ち上げられたソユーズTM-19は、同年7月3日、無事に宇宙ステーション「ミール」とのドッキングに成功しました。

彼らは、すでにミールに滞在していたワレリー・ポリャコフ宇宙飛行士と共に、第16次ミール長期滞在クルー（ミールEO-16）として、約4ヶ月間にわたる宇宙での活動を行いました。彼らの滞在中、ミールではいくつかの技術的な問題が発生しましたが、クルーはこれらに対応しながらミッションを遂行しました。

主なミッション内容

長期滞在中、ソユーズTM-19のクルーは多岐にわたる活動を実施しました。

科学実験: 医学や材料学など、様々な分野にわたる科学実験を行いました。
宇宙遊泳: ミールの外部断熱材の修理のため、2回の船外活動（宇宙遊泳）を実施しました。
1回目：1994年9月9日、5時間6分
2回目：1994年9月14日、6時間1分
技術実験:
同年11月3日には、ミールへの自動接近システム「クルス」の作動実験を実施しました。実験では、一時的にミールから約190メートルの距離まで離脱した後、再度ドッキングを行いました。
また、このミッション中に実施されたプログレス補給船の手動ドッキングは、これが初の成功例となりました。
乗組員の交代: 滞在中に、ドイツのウルフ・メルボルト宇宙飛行士がミールを訪れ、帰還時にはマレンチェンコ、ムサバイエフと共にソユーズTM-19に搭乗しました。

帰還

約4ヶ月間のミッションを終えたソユーズTM-19は、1994年11月4日、乗組員のマレンチェンコ、ムサバイエフ、メルボルトを乗せて無事に地球へ帰還しました。新人宇宙飛行士のみでの打ち上げという異例の状況ながら、多くの実験とステーションの維持作業を成功裏に遂行したミッションとなりました。

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