ソリッドモデル

ソリッドモデルとは

ソリッドモデルとは、木材などを主な材料として、削り出して製作される中実（中空でない）の模型のことです。航空機や艦船などを題材とすることが多く、展示や鑑賞を目的としています。ソリッドモデルは、単に形を模倣するだけでなく、実機の構造や細部まで忠実に再現する高い技術が求められます。

概要

ソリッドモデルは、模型趣味の一分野であり、その名の通り、内部が詰まっているのが特徴です。フライングモデル（飛行可能な模型[[航空機]]）のように、骨組みに外皮を貼る構造とは異なります。木製の模型は古くから存在し、プラモデルが普及する前は、スケールモデルの主流でした。日本では、1950年代が最盛期で、多くのメーカーから木製組み立てキットが販売されました。しかし、1960年代に入るとプラモデルが急速に普及し、木製キットは姿を消しました。現在では、ソリッドモデルは一部の愛好家によって、その技術が受け継がれています。

歴史

ソリッドモデルの誕生と普及

ソリッドモデルの歴史は、1920年代に木製の航空機模型が作られたことに始まります。1933年には、ジェームス・ヘイ・スティーブンス著『Scale Model Aircraft』でソリッドモデルの製作方法が紹介されました。1932年には、イギリスで、1/72スケール|1_72スケールに統一された木と金属製の組立模型「Skybirds」が発売され、第二次世界大戦中には軍の識別用模型としても利用されました。しかし、第二次世界大戦後、アメリカでプラモデルが普及すると、ソリッドモデルは次第に衰退しました。

日本における歴史

日本でも、第二次世界大戦前からソリッドモデルが作られていましたが、戦後は識別用模型として重要視されました。当時、「實體（実体）模型」とも呼ばれていました。敗戦後、模型飛行機は一時的に禁止されましたが、1948年頃に解禁され、1950年代にはソリッドモデルが流行しました。1950年代には、静岡を中心に多くの模型メーカーから木製組み立てキットが発売されましたが、1960年代に入るとプラモデルの普及により、木製キットは姿を消しました。しかし、ソリッドモデルの愛好家たちは、クラブ活動などを通して、独自の発展を遂げています。オールアルミモデルやモザイクモデルといった、高度な技術を要する作品も生まれています。

製作

キット

1950年代まで、ソリッドモデルには組み立てキットも存在しましたが、多くの場合、詳細な設計図と大まかに切り揃えられた木材のみでした。一部には、金属製の主脚や透明樹脂製のキャノピーが付属したものもありましたが、基本的には、図面を見ながら木材を削り出し、ヤスリで磨くという作業を繰り返す必要がありました。そのため、高い工作技術と資料の読解能力が求められました。

自作

ソリッドモデルの製作は、模型全体を自作することが一般的です。その過程は、資料の準備、材料の加工、塗装、部品の製作、組み立てという手順を踏みます。図面や写真から正しい断面形状を読み取り、再現するには、高度な技術と経験が必要です。また、航空機の場合、エンジンや爆弾などの外部装備を除き、ほとんどの部品を自作する必要があります。

素材

主な材料としては、加工しやすい木材が用いられます。日本では、主に朴の木が使用されます。朴の木は、耐水性・耐久性に優れており、ヤスリがけや塗装に適しています。また、微細な部品も削り出すことができます。しかし、木材は湿気によって反ったり歪んだりするため、加工には注意が必要です。木材の代わりにケミカルウッドが使われることもあります。部品製作には、プラスチック、真鍮板、真鍮棒なども使用されます。航空機の透明風防は、初期には塗装で表現されることもありましたが、1950年代には、熱した透明塩ビ板を型に押し付けて成形する方法が用いられました。

縮尺

類似の模型

商業模型

展示用や博物館用の模型、個人向けにプロの制作者が手がける模型などがあります。製作方法がソリッドモデルに類似するものも存在します。

商業原型

プラモデルメーカーが、模型化する商品の検討や金型製作のために作成する原型は木型と呼ばれます。製作過程はソリッドモデルと類似していますが、塗装は施されません。また、木型は形状だけでなく、分割方法も製品に合わせて製作されます。ただし、現代では3次元CADによる設計が主流のため、木製の木型は作られないことが多いです。

撮影用ミニチュア

映画やテレビ番組で使用される、航空機や艦船などのミニチュアは、木材や板金、プラスチック、FRPなどで製作されます。木製のミニチュアの製作方法は、ソリッドモデルとほとんど変わりありません。初期には木材や板金が用いられていましたが、プラモデルの普及後は、プラモデルを改造したり、他のキットの部品を組み合わせることも行われるようになりました。

まとめ

ソリッドモデルは、木材などを削り出して製作される、中身の詰まった模型です。その歴史は古く、プラモデルが普及する以前は、スケールモデルの主流でした。高度な技術と根気を要するソリッドモデルは、現在では一部の愛好家によって受け継がれています。独自の発展を遂げたソリッドモデルは、今後もその魅力を発信し続けるでしょう。

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