模型航空機

模型航空機とは

模型航空機は、実在の航空機を縮小したスケールモデルと、実機を模倣しない飛行模型の総称です。これらは、展示用として静的に鑑賞されるものから、実際に飛行を楽しむものまで、様々な形態があります。

模型航空機の関連活動は「模型航空」という分野で扱われ、設計、製作、飛行など幅広い活動が含まれます。

模型航空機の分類

模型航空機は大きく分けて、飛行しない展示用模型と、飛行する模型に分類されます。飛行する模型は、正式には「模型航空機」と呼ばれますが、「模型飛行機」という通称も広く用いられています。

国際競技用模型航空機

競技用模型航空機は、国際航空連盟（FAI）の規定に従い、世界各国で競技が行われています。FAIの規定は、模型のサイズ、重量、出力などの基準を定めており、各国はこれを基に独自の国内競技規格を制定しています。

模型は実機と比較して小型であるため、重量、出力、揚力などの比率が大きく異なります。そのため、競技規格においては、実機の飛行形態にとらわれない、模型独自の機体が出現しています。FAIの規定では、「模型飛行機」という言葉ではなく、「当該模型」のような曖昧な表現が用いられ、技術革新による規格からの逸脱を許容する柔軟性を持たせています。

FAIによる定義と仕様

FAIは模型航空機を「人が乗ることができない、競技、スポーツ、レクリエーション目的の、商用・公共事業・研究・軍事目的ではないもの」と定義しています。模型航空機の記録申請には以下の仕様が適用されます。

最大飛行重量（燃料を含む）：25kg
最大翼面積：500平方dm
最大翼面荷重：250g/平方dm
ピストンエンジンの最大排気量：250立方cm
電動モーターの最大無負荷電圧：72ボルト
タービンエンジンの最大推力：25kg（250ニュートン）

日本模型航空連盟では、2011年6月1日の改訂で「模型飛行士登録適用一般機体仕様限界」を以下のように規定しています。

最大重量（飛行時燃料を含まず）：15kg
最大翼総面積：250平方dm
最大回転翼面積：250平方dm
最大翼面荷重：200g/平方dm
最大ピストンエンジン合計排気量：125cc
最大タービンエンジン合計推力：15kg
最大無負荷動力電圧：51V
最大パルスジェットエンジン排気口径：40mm

これらの定義には不明確な点もあり、競技、法的規制、損害保険など、状況に応じて個別に判断が必要となります。

航空法による規制

2015年12月10日に施行された改正航空法では、一定の条件を満たす模型航空機は無人[[航空機]]とみなされ、飛行空域や飛行方法に規制が適用されます。無人[[航空機]]とは、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船で、遠隔操作または自動操縦が可能なもの（200g未満のものを除く）」と定義されています。

そのため、多くの屋外飛行可能な模型航空機は、人口密集地域での飛行が国の許可制となるなど、新たな規制が課されることになりました。総重量200グラム未満のものは航空法上も「模型航空機」として扱われます。

飛行しない模型航空機

飛行しない模型は、外観を忠実に再現することに重点が置かれ、素材や構造の制約が少ないのが特徴です。展示会やコレクションなどで観賞用として楽しまれます。

飛行する模型航空機

飛行する模型は、軽量かつ飛行荷重に耐えられる強度が必要なため、使用する材料や構造が制限されます。軽量な木材（バルサ材、キリ、ヒノキなど）や、樹脂、発泡材、FRPなどが使われます。構造は、軽量で丈夫な中空構造が一般的ですが、小型の機体では、軽量木材や発泡プラスティックを使った中実構造も用いられます。

機体の表面には、紙、絹、バルサ薄板などが張られ、ラッカーやドープで塗装されます。最近では、プラスティックフィルムが使われることも多いです。スケールモデルでは、実機と異なるレイノルズ数やマッハ数を考慮し、若干の修正が加えられることがあります。細部を再現するために、効率を犠牲にすることもあります。

機種の区分

飛行する模型は、操縦型と非操縦型に大別されます。非操縦型は、地上・飛行者と物理的に関係なく飛行するもので、フリーフライトと呼ばれます。操縦型は、索で機械的に操舵するコントロール・ラインと、電磁波で操舵するラジオ・コントロールがあります。

これらの区分は、さらにグライダー、ヘリコプター、オートジャイロなどの形式に分かれ、競技の種類も多岐にわたります。

動力

模型航空機には、ゴム、電気モーター、小型のピストンエンジン、ロケット、小型タービン、パルスジェット、圧縮ガスエンジンなど、多様な動力源が使用されます。

ゴム動力：初期から使用され、2000年代の競技用模型では1時間近く飛行するものもあります。
蒸気機関：航空史の初期に用いられ、模型飛行機の動力として利用されていました。
内燃機関:グローエンジンやディーゼルエンジンが使用されます。
ジェットエンジンとロケットエンジン:近年では、模型用のジェットエンジンが普及しつつあります。ロケットエンジンは、滑空機の加速などに用いられています。
電動：直流モーターやブラシレスモーターが使用され、リチウムポリマー電池の普及により飛行性能が向上しています。
二酸化炭素：大口径のプロペラを回転させ、作動時に冷却される特徴があります。

推進器の種類

模型飛行機の推進器には、プロペラ、ダクテッドファン、ジェットエンジン、ロケットエンジン、オーニソプターなどがあります。

プロペラ：最も一般的な推進方式です。
ダクテッドファン：筒状のダクト内にプロペラを設置し、ジェットエンジンに似た推進力を得ます。
ジェットエンジン：実機同様の噴射で推進します。模型用には小型化された遠心式圧縮機が用いられます。
ロケットエンジン: 黒色火薬やコンポジット推進薬を使用し、モデルロケットに使用されます。
オーニソプター：鳥のように翼を羽ばたかせて推進します。

法規制

日本では、航空法や小型無人機等飛行禁止法などにより、模型航空機の飛行が規制されています。特に、航空法の「無人[[航空機]]」に該当するものは、飛行空域や飛行方法に制限が加わります。また、国の重要施設周辺での飛行は禁止されています。

第二次世界大戦直後には、連合国軍指令により、模型飛行機の製作が禁止されていた時期もありました。

関連項目

模型航空競技
模型航空教育
紙飛行機
モデルロケット
ホームビルト機
* マイクロ・エア・ビークル

参考書籍

（多数の書籍が記載されているため、一部割愛）

出典

（出典一覧）

外部リンク

（外部リンク一覧）

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