スケールモデル

スケールモデルとは

スケールモデルとは、実在する物体や過去に存在した物体、または将来的に作成が予定されている物体を、一定の縮尺に基づいて忠実に再現した模型のことです。多くの場合、実物を縮小して作られますが、拡大して作られるものや、実物と同じ大きさ（1/1|1_1スケール）のモデルも存在します。縮尺模型は、ミニチュアとも呼ばれます。

創作物のモデルにおいては、絶対的な大きさを「スケール」と呼ぶこともあります。スケールモデルは、各部の寸法が一定の縮尺で縮小または拡大されるのが特徴です。一方、各部のバランスを意図的に変えた模型はデフォルメモデルと呼ばれますが、スケールモデルでも部分的にデフォルメが施されることがあります。

スケールモデルの目的

スケールモデルは、研究や展示などの学術的な目的、サンプルや宣伝、クレイアニメーションの撮影用、趣味のコレクションや制作など、様々な目的で利用されます。特に趣味の分野では、「実物を忠実に再現した」という印象を与えるために、「より正確な模型」として用いられることが多いです。

プラモデルの分野では、「実在するものを再現したプラモデル」として、架空のキャラクターモデルやオリジナルモデルと区別されることがあります。しかし、構想段階で実物が製作されなかった軍艦や航空機、アニメに登場する架空のメカなど、縮尺が明記されているものであれば、広義のスケールモデルに含まれると考えられています。

スケールモデルと技術

ガンプラなどのキャラクターモデルでは、可動部の保持性を高めるポリキャップ、接着剤不要のスナップフィット、塗装なしでデザインを再現する多色成形など、新技術や新素材が積極的に採用されています。一方、スケールモデルは、CADやFA、スライド金型など開発製造プロセスは刷新されているものの、製品の形態は比較的保守的です。これは、接着や塗装などの工作も模型趣味の一部と捉える伝統重視の志向や、特に艦船模型など微細なパーツが多くスナップフィットの導入が技術的に困難なことなどが理由として挙げられます。

スケールと縮尺

スケールモデルの縮尺率は、その目的に応じて決定されます。例えば、航空宇宙産業では、風洞実験用に新型機のモックアップを製作する際、風洞に入る縮尺率で作られます。また、性能検査のためには実物大またはそれに近い大きさの模型が用いられることもあります。建築模型では、顧客への説明を目的として、1/1|1_100など計算しやすい縮尺が使われることが多いです。趣味の模型では、コレクションや動かすのに適した縮尺が用いられる傾向があります。

模型や玩具のスケール

プラモデルやミニカーなどの趣味の模型には、ジャンルごとに複数の「国際スケール」と呼ばれる規格が存在します。同一の縮尺で作られた製品を並べることで、実物の大きさの違いを比較することができます。国際スケール以外でも、同一メーカーのシリーズ内ではスケールが統一されることが多いです。一方、製品の価格帯を統一するために、パッケージのサイズに合わせて製品ごとの縮尺が決められることもあり、これらは一般に「箱スケール」と呼ばれます。

主なスケールとそのジャンル

以下に主なスケールと、それが用いられるジャンルをまとめます。

1/1|1_1：工業製品の原型、モデルガン、小動物、フィギュア
1/6：バイク、アクション[[フィギュア]]、アクセサリー、着せ替え人形
1/7：フィギュア (250mmスケール)
1/8：自動車、バイク、フィギュア
1/9：バイク、ヒストリカルフィギュア (200mmスケール)
1/1|1_10：自動車 (主にRCカー)
1/1|1_12：自動車、バイク、陸戦兵器、ドールハウス
1/1|1_15：陸戦兵器
1/1|1_16：自動車、陸戦兵器、フィギュア、鉄道
1/1|1_18：自動車、航空機、陸戦兵器
1/20：自動車、陸戦兵器
1/22.5：フィギュア (80mmスケール)、鉄道
1/24：自動車、バイク、航空機、陸戦兵器、鉄道
1/25：自動車、戦車、屋台
1/30 (1/30.5)：鉄道
1/32：自動車、陸戦兵器、航空機、メタルフィギュア、鉄道
1/35：陸戦兵器、小型艦船、ヘリコプター
1/43 (1/43.5)：鉄道、ミニカー、自動車
1/45：鉄道
1/48：航空機、陸戦兵器、鉄道
1/50：鉄道、建設機械、航空機、建築模型、ミニカー
1/56：陸戦兵器
1/60：デコトラ、店舗、小型艦船
1/64：鉄道、ミニカー、自動車
1/72：航空機、陸戦兵器、艦船、メタルフィギュア
1/76：鉄道、陸戦兵器、ミニカー
1/80：鉄道
1/87：鉄道、ミニカー、陸戦兵器
1/1|1_100：航空機、建築模型
1/1|1_102：鉄道
1/1|1_120：鉄道
1/1|1_144：航空機、陸戦兵器、小型艦船
1/1|1_148：鉄道
1/1|1_150：鉄道、小型艦船、航空機
1/1|1_160：鉄道
1/200：艦船、航空機、宇宙船
1/220：鉄道
1/250：艦船
1/288：航空機、宇宙船
1/300：鉄道
1/350：艦船、航空機、城
1/400：艦船、航空機
1/450：艦船、鉄道
1/500：艦船、航空機
1/600：艦船、航空機
1/700：艦船、航空機、城
1/720：艦船
1/800：艦船、航空機
1/1|1_1000：艦船、航空機
1/1|1_1200, 1/1|1_1250, 1/2400, 1/3000: 艦船

スケールの基準

スケールモデルの多くは、ヤードやフィートを単位とするイギリスで生まれ、アメリカで発展しました。そのため、スケールの基準は「1フィートをどれだけの長さにするか」で決められることが多いです。アメリカで発展したプラモデルでは、1フィートを1/4インチに換算する1/48スケール|1_48スケールと、1ヤードを1/2インチに換算する1/72スケール|1_72スケールが「国際スケール」となっています。

1/1|1_12スケールは1フィートを1インチに換算するもので、ドールハウスの国際的な基準となっています。また、鉄道模型では、1フィートを7mmと換算する1/43.5スケールや、その半分の1/87.1スケールが基準となることがあります。

メートル法を使用する文化圏では、1/1|1_10、1/50、1/1|1_100など計算しやすいスケールが用いられることもあります。フィギュアでは、成人男性の身長（170-180cm）を基準に、300mm (1/6スケール)、200mm (1/9スケール)、54mm (1/32スケール|1_32スケール)、25mm (1/72スケール|1_72スケール) などのスケールが用いられます。

日本で多いスケール

日本では、以下のようなスケールがよく用いられます。

1/35：田宮模型のミリタリーミニチュアシリーズから発展した標準規格。通称MM規格。
1/20：自動車モデルでポピュラーなスケール。
1/1|1_100、1/1|1_144：ガンプラで採用されたスケール。1/1|1_144は食玩でもよく用いられる。
1/70、1/75、1/80、1/1|1_120、1/1|1_150：パッケージサイズに合わせて設定されたスケール。1/1|1_150は日本型Nゲージ鉄道模型でも用いられる。
1/200、1/350、1/700：艦船模型で用いられるスケール。1/700はウォーターラインシリーズの規格として発展した。

スケールモデルのデフォルメ

スケールモデルは「正確な縮尺」というイメージで捉えられがちですが、実物をそのまま小さくしても、必ずしも実物と同じように見えるとは限りません。これは、実物と模型を見る際の視点の違いや、遠近法の影響などが原因です。そのため、各メーカーは縮小の際に、ある程度のデフォルメを行っています。正確に縮小されていても、実物と似て見えなければ、商品として成功とは言えないからです。

例えば、実物に忠実な寸法で製作された模型が、実物と比べて胴長に見えたり、縮小比率的には正しいはずの模型よりも、よりデフォルメされた模型の方が、実機のイメージを捉えているように感じられることがあります。

また、縮小する過程で、小さくなりすぎて再現が困難な部品の省略や、金型の都合で形状が変わる部品が発生することもあります。特にプラスチックでは、成形可能な部品の薄さや細さに限界があるため、実物を正確に縮小した場合よりも、大幅に厚くまたは太く成形されてしまうこともあります。

動力付きの模型の場合、モーターや電池の大きさなどによって、模型の形状変更を余儀なくされることがあります。例えば、モーターライズ仕様の自動車模型や戦車模型では、車体内部の構造を再現しつつ、走行用モーターや電池ボックスを組み込むために、正確な車体形状が崩れてしまうこともありました。

タイヤの表現

タイヤは、実物では走行中に変形するのが当然ですが、模型でそれを再現することには賛否があります。模型のタイヤは、実物のように変形しないのが一般的です。

関連用語

モックアップ


以上がスケールモデルに関する詳細な解説です。スケールモデルは、単なる模型にとどまらず、技術、歴史、文化など、様々な側面を持つ興味深い分野です。

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