ソワレ (映画)

映画『ソワレ』

2020年8月28日に劇場公開された日本の映画作品です。監督・脚本は外山文治が手掛け、俳優の村上虹郎と芋生悠が主演を務めました。映倫によるレイティングはPG12指定となっています。物語の舞台は穏やかな風景が広がる和歌山県。そこにある高齢者施設で演劇指導を行う、俳優を志す一人の青年と、同じ施設で働く若い女性が織りなす、切なくも危険な逃避行を描いています。

作品背景

本作は、俳優である豊原功補氏と小泉今日子氏、そして監督の外山文治氏、さらに映画監督・俳優として活動する森岡龍氏、プロデューサーの水野優子氏という5名が共同で設立した映像制作プロダクション「新世界合同会社」が、初めてプロデュースを手掛けた記念すべき作品です。彼らが目指す新たな映画製作の試みとして、本作が企画・製作されました。

タイトルに込められた意味

作品名の『ソワレ』はフランス語に由来する言葉で、「陽が暮れた後の時間」や「夜会」といった意味合いを持ちます。また、演劇の世界では「夜公演」を指す劇場用語としても知られています。プロデューサーの一人である豊原功補氏は、このタイトルに特別な思いを込めたと語っています。それは、「誰もが心の奥底に秘めている、決して完全に癒えることのない痛みや、大切にしている思いを、『ソワレ』（夜会）という時間の中に一旦封じ込める。そして、訪れる新たな朝に、もう一度力強く一歩を踏み出して歩き始めてほしい」というメッセージです。登場人物たちの抱える葛藤や、そこからの再生への願いが、このタイトルに象徴されています。

ストーリー

（※詳細なあらすじの提供はありませんが、）和歌山県の高齢者施設を主な舞台に、演劇を教える青年・岩松翔太と、施設職員の山下タカラという二人の出会いから物語は展開します。彼らはそれぞれに心に傷や行き場のない思いを抱えており、ある出来事をきっかけに共に逃避行を選ぶことになります。美しい風景の中で展開される二人の逃避行は、危うさと刹那的な輝きを伴いながら、彼らの内面や関係性を深く掘り下げていきます。

劇中を彩る音楽

本作では、劇中で印象的に流れる楽曲も注目に値します。ラジオから聞こえてくる『How many times did I kiss you?』という楽曲は、本作の音楽監督を務めた亀井登志夫氏と、その妻である知永子氏の夫婦による共作です。この楽曲は、亀井夫妻がこれまでの人生で共に歩んできた道のりを振り返るかのような、情感豊かで心に染み入る調べとなっています。

キャスト

物語を彩る主な出演者は以下の通りです。

岩松翔太：村上虹郎
山下タカラ：芋生悠
西村薫：岡部たかし
小原茂雄：康すおん
瀬山圭壱：塚原大助
中町仁：花王おさむ
佐久間久美子：田川可奈美
瀬山晶子：江口のりこ
山下寛子：石橋けい
大久保建治：山本浩司

スタッフ

本作の製作に携わった主なスタッフは以下の通りです。

監督・脚本：外山文治
プロデューサー：豊原功補
共同プロデューサー：前田和紀
アソシエイトプロデューサー：小泉今日子
アシスタントプロデューサー：水野優子
ラインプロデューサー：金森保
音楽：朝岡さやか
音楽監督：亀井登志夫
撮影：池田直矢
照明：舘野秀樹
音響：弥栄裕樹
美術監督：山下修侍
装飾：中山まこと
衣裳：宮本茉莉
ヘアメイク：河本花葉
編集：加藤ひとみ
スチール：敷地沙織
助監督：石川浩之
* 制作担当：柴野淳

製作・協力

本作は、新世界合同会社を制作プロダクションとし、キリシマ1945が制作協力を行いました。また、製作は「2020ソワレフィルムパートナーズ」として、新世界合同会社、ベンチャーバンクエンターテインメント、東京テアトル、ハピネット、ステラワークス、カラーバードが名を連ねています。後援として和歌山県と（公社）和歌山県観光連盟が、協力として御坊日高映画プロジェクトと和歌山市が参加するなど、地元の支援も得て製作されました。配給・宣伝は東京テアトルが担当しています。

この作品は、登場人物たちが抱える心の傷と向き合い、困難な状況の中でも希望を見出そうとする姿を、和歌山の美しい風景の中で丹念に描き出しています。PG12指定として、十代の観客にも配慮された内容となっています。

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