ソープ再処理工場

ソープ再処理工場 (THORP)

ソープ再処理工場（THORP、熱酸化再処理工場）は、イギリスのカンブリア州セラフィールドに位置し、核燃料の再処理を行っていた重要な施設です。1997年に操業を開始し、2018年に閉鎖されました。この工場は、使用済み核燃料を高濃度のウランやプルトニウムとして再処理し、MOX（混合酸化物）燃料に再利用することを目的としていました。再処理された核燃料のうち、96%はウラン、1%はプルトニウムとして分離され、残りの3%は放射性廃棄物として保管されました。

歴史的背景

THORPの建設は1970年代に始まり、工場そのものは1994年に完成しました。1997年8月に正式に稼動を開始した際には、既存の原子炉での使用を見据えた新しい時代の幕開けとして期待されていました。その建設にはいくつかの審議が必要であり、1977年から1978年にかけては、国内外の原子炉用にMOX燃料を再処理する計画について許可が求められました。この審議では、どのように燃料を再処理するべきかについて多くの討論が行われましたが、最終的には新しい工場の建設が認可されました。

しかし、工場が完成するまでには、約20年もの歳月がかかりました。

設計の特徴

THORPは、プルトニウム・ウラン還元溶媒抽出法（PUREX法）を基にした化学フローシートが特徴です。この設計では、効率的な再処理のために還元剤として二価鉄化合物の使用を避け、ヒドラジンまたはヒドロキシルアミン・硝酸塩（HAN）のいずれかを使用して還元が行われていました。

2005年の事故

2005年には、大規模な放射能漏れの事故が発生しました。5月9日に発表された事故によると、高レベルの放射性溶液が2004年7月から漏洩していたことが判明しました。この漏洩は、設計上のミスや運転員による認識の遅れが原因でした。漏洩に至った原因は、供給パイプに小さな破損が生じていたためであり、運転要員はその液量の計算に関して保安要員から指摘されるまでは気づきませんでした。

総計83立方メートルの硝酸溶液が漏れ、そのうち20トンのウランと160キロのプルトニウムが含まれていると推定されました。当局は、漏洩液体を安全に一次格納容器内に回収し、環境への流出は防がれましたが、この事件は国際原子力事象評価尺度（INES）でレベル3の重大なインシデントに分類されました。

工場はその後、適切な修正を施した上で2008年に生産を再開することができましたが、再処理燃料を移動させるための装置の修理が必要なため、さらなる中断を余儀なくされました。事故により、英国原子力グループは規制違反とされ、500,000ポンドの罰金が科されています。

このように、THORPは運営中に多くの重要な実績と同時に、さまざまな課題に直面した施設でもありました。再処理工場としての役割は、原子力エネルギーのさらなる発展と持続可能性のために重要な意味を持ちました。

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