ソーラー・オービター

ソーラー・オービター (Solar Orbiter, SolO)

ソーラー・オービターは、欧州宇宙機関 (ESA) が開発した太陽観測衛星です。2020年2月10日にアトラスVロケットによって打ち上げられ、地球からの観測が困難な太陽の極地方の詳細な観測と、内太陽圏や太陽風の発生過程の解明を主な目的としています。このミッションは、「太陽がどのように太陽圏を作り、影響を及ぼしているのか？」という根源的な問いに答えることを目指しています。

概要

ソーラー・オービターは、ESAのCosmic Vision 2015-2025プログラムにおける中規模ミッションの第一号機（M1ミッション）として選定されました。当初は2018年10月の打ち上げが予定されていましたが、延期を経て2020年2月に打ち上げられました。

この衛星は、水星の近日点の内側にあたる60太陽半径（約0.284天文単位）まで太陽に接近し、観測を行います。具体的には、0.9から0.28天文単位の範囲を楕円軌道で約168日周期で周回します。初期運用段階では軌道傾斜角は25度ですが、ミッションが延長されると34度まで傾斜角を増やす予定です。打ち上げ後には、地球と金星の重力を利用して軌道変更を行い、打ち上げから約3年半後に観測軌道に到達する予定です。

ソーラー・オービターは太陽に極めて接近するため、機体表面温度は最高で520°Cに達します。この過酷な環境から機体を保護するために、骨炭を使用した多層構造のチタン製遮熱板で構成された分厚い耐熱シールドが採用されています。

目的

ソーラー・オービターは、以下の主要な科学的問いに答えることを目指しています。

コロナからの太陽風や磁場はどのように、またどこから発生しているのか？
太陽はどのように太陽圏内を移動するのか？
表面の爆発によって太陽圏を満たす高エネルギー粒子はどのように生成されるのか？
太陽と太陽圏の間の相互作用において、太陽ダイナモはどのような役割を果たしているのか？

搭載機器（ペイロード）

ソーラー・オービターには、以下の様々な観測機器が搭載されています。

太陽風分析器：太陽風の組成や速度を測定します。
エネルギー粒子検出器：高エネルギー粒子の種類とエネルギーを測定します。
磁気計：太陽周辺の磁場を測定します。
電波・プラズマ波分析器：太陽から放射される電波やプラズマ波を解析します。
偏光・日震撮像装置：太陽の振動を測定し、内部構造を調べます。
高解像度撮像装置：太陽表面の高解像度画像を撮影します。
スペクトル撮像装置：太陽光のスペクトルを分析し、組成や温度を調べます。
X線分光計/望遠鏡：太陽から放出されるX線を観測します。
コロナグラフ：太陽コロナの構造を観測します。
太陽圏撮像装置：太陽圏の広範囲な画像を撮影します。

関連事項

パーカー・ソーラー・プローブ: NASAの太陽探査機で、ソーラー・オービターと同様に太陽に接近して観測を行います。
ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡: アメリカ国立科学財団が運用する太陽望遠鏡で、高解像度での太陽観測を行います。

外部リンク

* Solar Orbiter homepage

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