ソ連共産党政治局

ソ連共産党政治局：党と国家を動かした中枢

ソ連共産党政治局（ロシア語: Политбюро ЦК КПСС、英語: Politburo）は、ソビエト連邦共産党の中枢として、重要な政策決定と党の運営を担った機関です。正式名称は「ソビエト連邦共産党中央委員会政治局」であり、1952年から1966年までは「幹部会（Президиум）」と呼ばれていました。

概要

政治局は、中央委員会の幹部メンバーで構成されていました。党規約上は、中央委員会が各会期の間、党を指導するために選出する「政治に関する部局」と位置づけられていました。政治局は、中央委員会の承認を得る責任を負い、政治局員の任命にも中央委員会の承認が必要でした。

しかし、実際には、政治局は中央委員会を監督し、あらゆる重要な政治的決定を掌握していました。その決定は中央委員会を経て、最高会議や党大会に伝えられました。党員が政府の要職を独占していたため、政治局の政策は党の規律を通じて政府機関にも実行されました。1957年の「反党グループ事件」では、幹部会（後の政治局）の決定が中央委員会によって覆された例も見られます。

歴史

政治局の起源は、1917年10月23日に設置されたロシア社会民主労働党（後のソ連共産党）の「政治局」に遡ります。これはレーニンを事実上の局長とし、武装蜂起（十月革命）の司令部として機能しました。革命後は「事務局」となり、レーニン、スヴェルドロフ、スターリン、トロツキーらが構成員となりました。1919年の第8回党大会で、ソビエト連邦における政治権力の中核となるべく政治局が再建されました。当初の構成員は、レーニン、トロツキー、スターリン、カーメネフ、クレスチンスキーの5人でした。

党規約上、政治局は下部機関から選出されるとされていましたが、実際にはレーニンをはじめとする中心メンバーが人事構成に強い影響力を持っていました。政治局の構成は、党内の勢力関係や、メンバー間の協調、外部からの支持などを反映していました。

スターリン時代には、党指導部の決定プロセスは大きく変化しました。書記長（スターリン）が中央委員会や政治局のメンバー構成を決定するようになり、下部からの選出という原則は形骸化しました。スターリンの死後、書記長の権威は変動し、党の中心メンバーや利害グループの協調関係によって指導部が構成されるようになりました。

組織と運営

政治局のメンバーには、議決権を持つ「正局員」と議決権を持たない「局員候補」の2種類がありました。実際の規模は変動しましたが、通常は14人の正局員と8人の局員候補で構成されていました。公式には局長は存在しませんでしたが、中央委員会の長を務める書記長が常に政治局で主導的な役割を担いました。最も権力を持った政治局員は、書記長の率いる書記局のメンバーでもあり、どちらか一方にしか属さないメンバーは影響力が限られていました。政治局員となった女性はごくわずかでした。

政治局では、個人的な衝突や派閥争いを避けるため、独特の議事手続きが用いられていました。会議での激しい議論を避けるため、強い批判は事前に他のメンバーに伝えられることになっていました。

解散

1990年の第28回党大会で、政治局の権限は最高会議に委譲されることが承認され、政治局は1991年8月24日に解散しました。

参考資料

Oleg Khlevniuk [2006] Politburo. Yale University Press. ISBN 0-300-11066-9

関連項目

ソ連共産党の機構

外部リンク

Leadership of the CPSU （英語） 政治局の全局員および局員候補のリスト（在任期間および死亡年を含む。）
『政治局』 - コトバンク

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