ゾロターン S-18/100

ゾロターン S-18/100：対戦車ライフルの詳細

ゾロターン S-18/100は、スイスのゾロターン社が1930年代に開発した対戦車ライフルです。この銃は、同社がドイツのラインメタル社の傘下にあった時期に、ドイツ向けの兵器生産を担う中で生まれました。S-18は、第一次世界大戦末期にラインメタル社が開発した20mm航空機関砲を基にしており、大型で強力な弾薬を使用する特徴を持ちます。

設計と特徴

S-18の設計は、長大な銃身と大型の機関部が特徴的です。機関部には給弾部、排莢口、そして銃把が配置されています。内部には、リコイルスプリングの収納部と、反動利用式作動のための遊底後退スペースがあります。二脚に加え、床尾部下面には単脚も備えられており、大型の機関部を支える設計となっています。

作動方式は、銃身後座式反動利用方式（ショートリコイル方式）による半自動式です。使用する弾薬は20×105mmベルテッドケース弾で、給弾は銃の左側面に水平に取り付けられた箱形弾倉で行われます。弾倉は5発または10発装填のものが使用されました。

フィンランドで使用されたS-18/154のデータによると、距離100mで撃角90度の場合35mm、60度の場合20mmの装甲を貫通することができました。しかし、距離500mでは、貫通力がそれぞれ23mmと16mmに減少しました。

派生型

S-18には、いくつかの派生型が存在します。輸出用にマイナーチェンジが施されたものや、作動方式を全自動式にした航空機搭載型のS-18/350、20×138mmベルテッドケース弾を使用するS-18/1000、さらにS-18/1000を全自動射撃可能にしたS-18/1100があります。

運用上の課題と戦訓

S-18は対戦車ライフルとして分類されていますが、その根本的な設計は航空機関砲であり、その構造と外観は小銃というよりも機関砲に近いものでした。大型で強力な弾薬を使用するため反動が大きく、またそのサイズと重量のために、個人での携行は非常に困難でした。

第二次世界大戦中、対戦車ライフルは戦車の進化に追いつけず急速に陳腐化しました。S-18は20mmという大口径を持つため、戦車の装甲に対しての有用性が低下した後も陣地攻撃用などに転用されました。しかし、その大型さと重量から使い勝手は悪く、運用には多数の人員が必要でした。その後、成形炸薬弾頭を持つロケット弾が登場すると、S-18は急速にそれらに取って代わられました。

生産と運用

S-18の生産は1938年から開始されました。ゾロターン社の他、ハンガリーのダヌビア社でも「36.M 20mm Nehézpuska」としてライセンス生産されました。エストニアでは、ライセンスなしで製造された「Solothurn S-18/100」が20挺のみ生産されました。

ドイツでは、Panzerbüchse 785（PzB 785）の名称で、また航空機搭載型はMG204（Lb204）の名称で制式採用されましたが、対戦車兵器としての装備は限定的でした。1930年代後半から末にかけて、ドイツの他、スイス、ハンガリー、ブルガリア、イタリア、オランダなどで使用されました。

フィンランドでは、冬戦争を支援するためにスイスから12挺のS-18/154が購入されましたが、到着は戦争終結後となり、継続戦争で使用されたものの、すぐに旧式化が判明しました。アメリカでは、1939年に2基を購入し、評価試験を行った後、50基を追加導入して実用試験を行う計画でしたが、開戦によりライセンス生産が困難になり、計画は中止されました。

派生型の詳細

ゾロターン S-18/1000: 高初速化弾を使用する改良型。機関部前半が細身になり、銃口部の形状が変更されています。コッキングレバーの位置も変更され、回転クランク式に変更されました。
ゾロターン S-18/1100: S-18/1000を全自動射撃可能にしたモデル。対空銃架に搭載して対空機関砲としても使用されました。
S-18/350: 全自動射撃可能な航空機搭載型。S-18/100と同じ弾薬を使用します。
MG204: S-18/350のドイツ軍制式名称。当初はLb204とも呼ばれました。Do217爆撃機の機首防御機銃などに搭載されましたが、重量過多と発射速度の遅さ、装弾不良のため、MG151/20に更新されました。

ゾロターンS-18系を搭載した車輛

38Mトルディ I/II 軽戦車: ハンガリーがS-18/100を国産化した36.M 20mm Nehézpuskaを主武装として搭載。
39Mチャバ偵察装甲車: 同じく36.M 20mm Nehézpuskaを主武装として搭載。
TKS: ポーランド製豆戦車。試作車にS-18/100を搭載。量産車はポーランド国産の20mm機関砲を搭載。

登場作品

『86-エイティシックス-』: ギアーデ連邦軍の装備として登場。
『ガンスミスキャッツ』: 車輪付き銃架に搭載されたS-18がマフィアの重火器として登場。
『ブレイブウィッチーズ』: 雁淵孝美中尉の装備として登場。
『ライディングビーン』: 車輪付き銃架に搭載されたS-18/1000が警護要員の火器として登場。

参考文献

『別冊 GUN Part2 知られざるGUNの世界』 国際出版：刊 1982年
Pitkänen, Mika & Simpanen, Timo：著 『20 mm Suomessa - Aseet ja ampumatarvikkeet ennen vuotta 1945』 Apali：刊 2007年

関連項目

対戦車ライフル

外部リンク

Modern Firearms＞Solothurn S18-100 S18-1000
jaegerplatoon＞20 mm pst kiv/18-S
Уголок неба＞Solothurn S18-350/MG-204
Tank Encyclopedia＞Solothurn S 18-1000

動画

Forgotten Weapons - YouTubeチャンネル
Solothurn S18-1000: The Pinnacle of Anti-Tank Rifles - YouTube
* Solothurn 20mm S18-1000 Wheeled Carriage - YouTube

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