ゾン

ゾンとは

ゾン（チベット文字：རྫོང་; ワイリー方式：rDzong）は、チベット文化圏に特有の城塞建築であり、単なる建築物としてだけでなく、行政の中心としても重要な役割を果たしてきました。この言葉は、ブータンでは最上位の地方区分単位の庁舎を指し、その庁舎が管轄する行政単位をゾンカク（རྫོ་ཁག།, rdzong khag）と呼びます。また、チベットにおいては、かつて地方行政区画の一種として機能していました。

チベットにおけるゾンの役割

チベットにおけるゾンは、元々は「城塞」を意味しており、その城塞に駐在する地方長官（ゾンポン）が統治する行政区画を指すようになりました。ゾンポンは中央政府から派遣される任期制の長官であり、その統治下で行政が行われていました。

14世紀半ば、パクモドゥパのチャンチュプ・ギェルツェンが中央チベットの覇権を握った際、要地に「十三ゾン」を設置したことがその起源とされています。この十三ゾンは、その後のチベットにおける地方行政の基礎となりました。その後、ゾンの数は次第に増加し、雍正帝によるチベット分割以降は、ガンデンポタン管轄下の五十三ゾンと称されるようになりました。これは、チベットの地方行政制度がより複雑化し、組織化されていった過程を示しています。

現代におけるゾンの使われ方

現代では、中華人民共和国の統治下にあるチベットの各地方において、ゾンは県に相当するチベット語として使用されています。これは、歴史的な経緯を踏まえつつ、現代の行政区分にもその名称が引き継がれていることを示しています。ゾンは、過去の歴史と文化を伝えるだけでなく、現代の行政においても重要な役割を果たしているのです。

まとめ

ゾンは、チベット文化圏において、単なる城塞建築を超えた意味を持つ言葉です。歴史的には地方行政の中心であり、現代においても行政単位として使われています。その変遷は、チベットの歴史と文化を深く理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

関連項目

ガンデンポタン
チキャプ

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