タイコンデロガ級航空母艦

タイコンデロガ級航空母艦：エセックス級からの進化

タイコンデロガ級航空母艦は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍が運用したエセックス級航空母艦の改良型として知られています。エセックス級は建造中に絶えず修正が加えられましたが、特に重要だったのが対空火力の強化でした。艦首と艦尾の火力を増強するため、1943年の対空火器改善計画に基づき、ボフォース40mm四連装機関砲の増設が決定されました。

船体の変更

艦首部分では、幅と長さをそれぞれ拡大し、特に艦首を5メートル延長してクリッパー型に改めることで凌波性の向上を図りました。これにより、エセックス級の全長は265.8メートルから270.8メートルへと増加しました。また、艦尾にはスポンソンを拡大し、四連装銃座を2基並列で搭載できるようになりました。

対空兵装の増強

対空兵装も大幅に増強され、四連装銃座は合計11基、20mm対空機関砲は合計57門にまで増加しました（初期のエセックス級はそれぞれ8基、44門）。艦橋の容積も拡大され、カタパルトも飛行甲板に2基搭載することが標準となりました（初期のエセックス級は格納庫にも1基搭載）。これらの変更により、エセックス級の中でも特に船体の延長が顕著な艦は、「短船体型」「長船体型」、「初期建造艦」「後期建造艦」、または「タイコンデロガ級」などと区分されることもあります。

飛行甲板の変更

飛行甲板にも変更が加えられました。対空兵装と射撃指揮装置の視界を確保するため、飛行甲板の一部が切り取られました。具体的には、左舷格納庫開口部にあるスポンソンに12.7センチ単装砲の射撃指揮を行うMk.37射撃指揮装置が追加されましたが、視界不足を解消するために飛行甲板の左舷前方を一部くびれさせる形状に変更されました。さらに、艦首と艦尾の四連装銃座の視界を確保するため、飛行甲板の前端を11フィート、後端を7フィート切り詰めました。これらの変更は、航空機の運用に支障をきたす可能性がありましたが、「タイコンデロガ」と「ハンコック」のみがこの設計変更を反映した状態で完成しました。

対空兵装の詳細

艦首と艦尾にそれぞれ2基ずつ配置された四連装銃座、艦橋前端の四連装銃座の撤去、3基目のMk.37射撃指揮装置の撤去など、対空兵装の配置も変更されました。特に「タイコンデロガ」と「ハンコック」では、艦首の四連装銃座を指揮するMk.51射撃指揮装置が目立つ特徴となっていました。しかし、他の同型艦や飛行甲板拡大後の「タイコンデロガ」では、射撃指揮装置の位置は飛行甲板前端の左右両端に変更されました。

活動歴

「タイコンデロガ級」という名称は、艦番号が最も若い「タイコンデロガ」に由来しますが、最初に竣工したのは「ハンコック」でした。この3隻と「ランドルフ」は第二次世界大戦で活躍しましたが、それ以降に竣工した艦は参戦していません。終戦までに完成しなかった艦の中には、建造が中止されたものや、SCB-27改装を施して再設計された後に竣工したものもあります。SCB-27改装は、短船体型・長船体型に関わらず行われ、短船体型の艦も艦首が延長されたため、エセックス級とタイコンデロガ級を区別する点はなくなりました。

「ハンコック級」という呼称も用いられることがありますが、これはSCB-27およびSCB-125改装の内容に基づくもので、「タイコンデロガ級」の区分とは無関係です。

タイコンデロガ級航空母艦は、エセックス級の改良版として、その後のアメリカ海軍の航空母艦の発展に大きな影響を与えました。

同型艦

タイコンデロガ (USS Ticonderoga CV-14)
ハンコック (USS Hancock CV-19)
シャングリラ (USS Shangri-La CV-38)
ランドルフ (USS Randolph CV-15)
レプライザル (USS Reprisal CV-30) 建造中止
イオー・ジマ (USS Iwo Jima CV-46) 建造中止
* オリスカニー (USS Oriskany CV-34)

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