SCB-125

SCB-125とは、アメリカ海軍がエセックス級航空母艦を対象に、1954年から1959年にかけて実施した近代化改装プログラムです。これは、SCB-27改装を受けた艦を対象としており、主な目的は、アングルド・デッキの装備をはじめとする飛行甲板の拡張による艦載機運用能力の向上と、航海性能の改善にありました。

改装の経緯

アングルド・デッキは、イギリスで考案された、より効率的な航空機の発着艦を可能にする飛行甲板設計です。1952年2月から試験運用が開始され、アメリカ海軍も1953年から「アンティータム」で同様の試験を実施しました。その後、SCB-27C改装中であった「シャングリラ」「レキシントン」「ボノム・リシャール」の3隻に対して、アングルド・デッキ化を含む改装をSCB-125として一括して行うことが決定されました。1954年以降は、SCB-27A/C改装を受けた艦のうち、「レイク・シャンプレーン」を除く10隻も同様の改装を受けています。

本改装の工期は約1年半であり、SCB-27と比較すると船体の基本構造の変更は少ないものの、後部エレベータの移設や艦首のエンクローズド・バウ化などにより、外観は大きく変化しました。

改装の内容

共通内容:

アングルド・デッキの装備
艦首部を甲板と一体化（エンクローズド・バウ化）
ミラー・ランディング・システムの導入
Mk.7アレスティング・ギアの装備
第一航空管制室を艦橋後端に移設
空調設備の設置

艦ごとの差異:

SCB-27A改装を受けていた艦のみ、飛行甲板後方のエレベータ（第三エレベータ）を甲板上から右舷デッキ端に移設（SCB-27C改装では既に実施済み）。
カタパルトについては、SCB-27C改装で蒸気式のC-11が導入されましたが、SCB-27A改装対象艦は能力の劣る油圧式H8のままで、更新は見送られました（カタパルト機器室の容積不足が原因）。
「ハンコック」「イントレピッド」「タイコンデロガ」は、第三エレベータの位置が若干後方でした。また、これら3隻と「オリスカニー」は、飛行甲板前方のエレベータ（第一エレベータ）の面積が拡大され、五角形となりました（大型機に対応するため）。なお、第一エレベータの拡大については、「シャングリラ」「レキシントン」「ボノム・リシャール」も追加で実施しています。
「オリスカニー」はSCB-125改装を最後に受けた艦ですが、飛行甲板の素材にアルミニウムを導入、カタパルトを油圧式H8から蒸気式改良型のC11-1に、アレスティング・ギアをフォレスタル級と同じMk.7-1に更新するなど、さらに充実した内容となりました（本艦の改装のみ「SCB-125A改装」と呼ばれます）。

SCB-125改装は、エセックス級空母の能力を大幅に向上させ、その後の航空母艦の発展に大きな影響を与えました。

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