タイコ・トイズ

タイコ・トイズの歴史

タイコ・トイズ（Tyco Toys）は、アメリカ合衆国の玩具メーカーで、1997年以降はマテルの事業部門となっています。その歴史は、1926年にジョン・タイラーとその家族がニュージャージー州で創業した金属加工会社マントゥア・メタル・プロダクツに遡ります。

鉄道模型から玩具メーカーへ

1930年代、マントゥアはダイカスト製のHOゲージ鉄道模型の製造を開始し、この分野の主要ブランドとなりました。第二次世界大戦中は、軍需生産に協力し精密機器を製造、戦後再び鉄道模型生産に戻ります。1957年には、すぐに走行可能な鉄道模型キットを「TYCO」ブランドで発売し、この名前はタイラー（Tyler）とカンパニー（Company）の頭文字から取られました。この頃のダイカスト製品はコレクターズアイテムとなっています。

1960年代に入ると、TYCOは製品の重点を組み立てキットから完成品モデルに移し、さらに電動スロットカーセットを発売。1970年代には、販売戦略を消費者志向に転換し、社名をタイコ・インダストリーズに変更しました。この頃、コングロマリット化の流れの中でConsolidated Foods（後のサラ・リー・コーポレーション）に買収され、同社の一部門として成長を続けます。

多角化とマテルによる買収

1980年代には電動レースカー分野で成功を収め、最初のスロットトラック「US-1 Trucks」やラジコン機器の製造も開始。1989年には、ビューマスター、マグナドゥードルなどのブランドを買収し、製品ラインナップを拡大しました。1990年代には、飛行機、ブロック玩具、セサミストリート関連商品など多岐にわたる商品を展開。1991年には映画『リトル・マーメイド』の人形がヒットし、1993年にはミニカーのマッチボックスを買収するなど、積極的な事業拡大を続けました。

1997年3月27日、タイコはマテルに買収されました。当時、タイコはアメリカで第3位の玩具メーカーでした。タイコブランドはマテル傘下のタイコR/C部門として存続しましたが、セサミストリート関連商品とマグナドゥードルはフィッシャープライス部門に移管されました。

鉄道模型事業の変遷

一方、鉄道模型事業は、1977年にタイラー家によって買い戻され、マントゥア・インダストリーズとして再スタートしていました。1993年以降、タイコは鉄道模型事業から撤退し、製品はマントゥアやインターナショナル・ホビー・コーポレーションによって製造されました。2001年には、マントゥアが鉄道模型製造から撤退し、モデル・パワー社に売却。その後、モデル・パワーは「マントゥア・クラシックス」ブランドで一部製品を販売しましたが、2014年初めに廃業しました。現在では、モデル・レクティファイヤー・コーポレーション（MRC）の一部門が、モデル・パワーのブランドを引き継ぎ、製品の販売を継続しています。

タイコ・トイズの歴史は、鉄道模型から始まり、様々な玩具分野への進出、そして最終的なマテルによる買収という、アメリカ玩具業界の変遷を象徴する物語と言えるでしょう。

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