タイトオイル

タイトオイルの概要

タイトオイルとは、頁岩などの固い地層から採掘される非在来型原油のことを指します。英語では「Tight oil」と表現され、ライトタイトオイルとも呼ばれることがあります。日本のメディアでは一般的にシェールオイルという名称が使われることが多く、同一視されることがありますが、タイトオイルはその中でも特に流動性の悪い地層から得られる原油を細分化した用語です。これに対し、シェールオイルは頁岩層に特化した原油を指すことが一般的です。

歴史的な背景

タイトオイルの生産が本格化したのは2009年頃からで、それ以降、米国ではガス価格が下がっている一方で原油価格が高騰したことから、投資が活発化しました。この状況を受け、水平坑井掘削や水圧破砕といった新しい開発技術が導入されたことで、生産量が飛躍的に増加しました。国際エネルギー機関(IEA)は2012年に、「米国が2020年までにサウジアラビアを抜いて世界一の産油国になる」と予測していました。

採掘方法と技術

タイトオイルの採掘方法は、アメリカとカナダで確立され、シェールガスと共に採取されることが一般的です。技術革新により、米国ではシェールオイルをはじめとする原油の増産が進み、2008年の日量500万バレルから2014年には800万バレルを超えるようになりました。この増産が2020年の世界石油需要の大部分を賄うとIEAは予想しています。

採掘のフルサイクルコストは2014年時点で1バレルあたり70〜90ドルと試算されていましたが、土地やインフラが整備されているシェールオイルでは40ドルまで下がる可能性があります。シェールオイルの価格競争力が増す中、OPECも生産量を維持するための戦略を見直すことを余儀なくされています。

日本におけるタイトオイルの状況

日本では2012年に初めて、「石油資源開発」によって秋田県の女川シェール層からタイトオイルが採取されることに成功しました。その後、2014年には商業生産が開始され、日本国内でのシェールオイルの生産が本格的にスタートしました。特に、秋田県由利本荘市の鮎川油田では、「多段フラクチャリング」と呼ばれる先進技術が導入され、効率的な原油採取が行われています。

世界の埋蔵量

アメリカ合衆国エネルギー省による2013年の調査では、世界各国のタイトオイルの埋蔵量が以下のように推定されています。

1. ロシア: 750億バレル
2. アメリカ: 480〜580億バレル
3. 中華人民共和国: 320億バレル
4. アルゼンチン: 270億バレル
5. リビア: 260億バレル
6. ベネズエラ: 130億バレル
7. メキシコ: 130億バレル
8. パキスタン、カナダ: 各90億バレル
9. インドネシア: 80億バレル

これらの数字からわかるように、タイトオイルは国際的にも重要な資源と位置付けられています。今後の技術革新や市場動向によって、さらなる影響力を持つ可能性があるのです。

もう一度検索