タイパ競馬場

タイパ競馬場：マカオ競馬の歴史に幕を下ろす

マカオのタイパ島に位置していたタイパ競馬場は、長年にわたりマカオの競馬文化を支えてきた歴史ある施設でした。しかし、2024年4月1日、マカオジョッキークラブとマカオ特別行政区政府との間の競馬運営権契約が解除され、閉場という結末を迎えることとなりました。本稿では、タイパ競馬場の歴史からコース、設備、アクセス方法まで、その全貌を詳細に解説します。

歴史：ハーネス競馬からサラブレッド競走へ

タイパ競馬場は1980年、マカオ・トロッティングクラブによって開設されました。当初は、第二次世界大戦で途絶えていたマカオにおける競馬開催権を獲得し、1周2210mの繋駕速歩競走（ハーネス競馬）をメインとしていました。しかし、経営難によりハーネス競馬は中断。その後、マカオジョッキークラブが経営を引き継ぎ、1989年9月10日、サラブレッドによる平地競走へと転換しました。1990年から1991年のシーズンには芝コースとナイター照明設備が整備され、競馬場の機能はさらに充実しました。しかし、2020年代に入ると入場者数の減少が課題となり、かつては1万5000人を収容できたグランドスタンドも、1フロアのみの営業に縮小。入場料が無料となるなど、運営は厳しい状況が続いていました。

2024年1月15日、マカオジョッキークラブの経営難を理由に、政府との競馬運営権契約が同年4月1日付けで解除されることが発表されました。これにより、タイパ競馬場での競馬開催は3月30日の最終レースをもって終了。長い歴史に幕が閉じられました。契約解除後も、一部スタッフが残って競走馬の世話を続けましたが、2025年3月31日までに全ての競走馬は海外へ移送され、競馬場の敷地と関連施設はマカオ政府に無償で返還されることになっています。

コース：芝とダートの2コース

タイパ競馬場のコースは右回りで、外側に1周1600mの芝コース（直線370m）、内側に1周1400mのダートコース（直線320m）が設けられていました。芝コースとダートコースともに、フルゲートは12頭でした。

設備：充実した施設

競馬場には4階建てのグランドスタンドがあり、最大1万5000人を収容可能でした。しかし、入場者数減少の影響を受け、2020年代には1フロアのみの営業となり、上層階のレストランなども閉鎖されていました。

競走馬のための施設も充実しており、14棟の厩舎には1183頭の競走馬を収容可能でした。さらに、検疫馬房60頭分、休養馬房28頭分、引退馬や乗馬訓練学校の馬のための馬房なども用意されていました。競走馬の健康管理のために、診療所や馬用プールなども完備されていました。

アクセス：公共交通機関とタクシーで便利

タイパ競馬場へのアクセスは、公共交通機関とタクシーの両方で容易でした。バス路線としては、新福利（TRANSMAC）と澳巴（TCM）の複数の路線が競馬場最寄りのバス停「賽馬會-2（Jockey Club-2）」に停車していました。また、マカオLRTタイパ線の「馬會駅（Jockey Club Station）」も最寄り駅でした。さらに、アウター・ハーバー・フェリーターミナルからはタクシーで約10分、無料シャトルバスで15～20分でした。

閉場後の行方

タイパ競馬場の閉場は、マカオの競馬史における大きな転換点となりました。長年親しまれてきた競馬場が姿を消すことは、多くの競馬ファンにとって寂しい出来事ですが、その歴史と記憶は人々の心の中に長く残ることでしょう。跡地がどのように活用されるのか、今後の展開にも注目が集まります。

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