タイムクライシス5

『タイムクライシス5』とは

『タイムクライシス5』は、バンダイナムコアミューズメント（旧バンダイナムコゲームス）が開発したアーケード用のガンシューティングゲームです。シリーズ本編の第5作目にあたり、前作『タイムクライシス4』からおよそ9年の空白期間を経て、2015年3月12日に稼働を開始しました。当時のバンダイナムコゲームス名義としては、最後のアーケード向けタイトルとなります。シリーズ通算では8作品目となる本作は、「守るタイクラから攻めるタイクラへ」というキャッチコピーを掲げ、従来のゲーム性を進化させました。本作のプロデューサーである西村典洋氏は、かつて一時代を築きながらも下火になりつつあったガンシューティングというジャンルに、再び活気をもたらしたいという強い思いを語っています。

ゲームシステム

本作の最も特徴的なシステムは、プレイヤーの足元に配置された2つのペダルを用いた「ダブルペダルシステム」です。これにより、プレイヤーは従来のシリーズ同様にペダルを踏むことで攻撃を行い、離すことで遮蔽物に隠れて敵の攻撃や障害物を避けるといった攻守の切り替えに加え、左右のペダル操作で敵の側面へ回り込んだり、素早く向きを変えたりといった新たなアクションが可能になりました。このシステムは、障害物を回避する際のQTE（クイックタイムイベント）や、緊迫感のあるカーチェイスシーンでの走行レーン変更にも活用されます。開発陣は、8年ぶりの新作にあたり、「シリーズ独自の完成されたシステムを大切にしつつ、新しいアクションを取り入れたい」という意図でダブルペダルシステムを導入したと説明しています。

ガンコントローラーにも改良が加えられました。シリーズで初めて武器切り替えボタンが搭載され、状況に応じてサブウェポンを瞬時に使い分けることが可能に。また、トリガーを引いた際の反動機構も再設計され、より強力でリアルな撃ち応えを体感できるようになりました。ゲームデータの保存にはバナパスポートカードおよびAimeが対応しており、プレイヤーのベストスコアが記録されるほか、特定の条件を満たすことで「勲章」を獲得するコレクション要素も存在します。稼働後のアップデートである「真の黒幕編」では、敵が放つ赤弾の弾速が調整され、被ダメージの判定が緩和される変更も行われました。また、細かなテクニックとして、ハンドガン装備時にペダルを一度離してすぐに踏み直すことで、通常より速いリロードが可能になります。

ストーリー

物語は、国際特殊諜報機関VSSEが、廃リゾート島で開催される闇の兵器マーケットで、組織内の裏切り者に関する機密情報が伝説の殺し屋ワイルド・ドッグに渡されるという情報を掴んだことから始まります。この機密情報は、3ヶ月前に殉職したVSSEエージェントが所持していたものでした。情報の奪還と裏切り者の特定という重大な任務のため、VSSEはエージェントチームを派遣します。

初期に実装されたストーリーパートでは、エージェントのルーク・オニールとマーク・ゴダートが、指導役のロバート・バクスターと共にワイルド・ドッグを追跡。激しい戦闘の末、ワイルド・ドッグを追い詰めるも、彼は機密データのケースを空中に放り投げ、自身は自爆するという形で逃走します。その後、機密データは回収されたかに見えましたが、突如現れた謎の男によって再び奪われ、事件は新たな局面を迎えます。アップデートで追加された「真の黒幕編」では、奪われたデータケースを追う中で、事件の真犯人がVSSE内部の人物であること、そしてかつての仲間キース・マーティンが裏切り者として陥れられていた真相が明らかになっていきます。エージェントたちは、真犯人の野望を阻止するため、そしてキースと共に最後の戦いに挑むことになります。

ステージ構成

稼働当初は3ステージで構成されていましたが、2015年10月22日のアップデートにより、後半の物語を描く「真の黒幕編」として3ステージが追加され、全6ステージとなりました。アップデート後は、物語の後半にあたるステージ4からプレイを開始することも可能です。通常、各ステージは複数のエリアに分かれて進行しますが、クライマックスとなるファイナルステージは、集中的な最終決戦を描くため単一のエリア構成となっています。

主要キャラクター

VSSE

正式名称「Vital Situation, Swift Elimination」。あらゆる危機に対応する国際的な特殊諜報機関。

ルーク・オニール: 1P側のプレイヤーキャラクター。若手のエージェントで、困難にもひるまず果敢に任務に挑む熱血漢。金髪に赤い装いを好み、右肩と右手の甲にVSSEのタトゥーを入れています。
マーク・ゴダート: 2P側のプレイヤーキャラクター。ルークと同世代の新人エージェントで、冷静沈着かつ寡黙な性格。無鉄砲なルークのストッパー役を担います。黒髪で青い装いをしています。
ロバート・バクスター: チームのミッションリーダーであり、若手エージェントたちの指導役。元Navy SEALsの経歴を持ち、『タイムクライシス2』の主人公の一人としても知られる、VSSE内では伝説的存在です。しかし、本作における一連の事件の真の黒幕であり、最終ボスとしてエージェントたちの前に立ちはだかります。「世界をリセットする」という歪んだ信念のもと、人間の感情を消し去る薬品を搭載した化学弾頭ミサイルをニューヨークへ発射しようと計画します。自身の計画を隠蔽するため、かつての戦友であるキースを裏切り者に仕立て上げ、口封じを図りました。最終決戦では、自ら戦うほか、巨大なロボットを操縦してエージェントを追い詰めます。
キャサリン・リッチ: 後方支援を担当するヘリコプター操縦士で、チーム最年少のメンバーです。口うるさい一面があり、先輩エージェントたちを困らせることもありますが、任務遂行のためには献身的にサポートを行います。前作『タイムクライシス4』のエリザベスと同様、上空から状況報告やアドバイスを送ります。最終ステージでは、ロバートの発射しようとしたミサイルに対し、操縦するヘリで体当たりを敢行し、計画を阻止するという捨て身の活躍を見せ、無事生還しました。

敵キャラクター

ワイルド・ドッグ: シリーズを通じてVSSEの宿敵として登場する伝説の殺し屋。本作ではサイボーグ化しており、外見も髭を生やし肌の色が黒ずむなど大きく変化。以前よりも口数が多く、ファンキーな言動が目立ちます。初期ステージの主要な敵として登場し、おなじみの二丁拳銃に加え、義手に仕込まれたトラクタービームなどの新たなギミックでプレイヤーを翻弄します。今回は自身の組織を率いている様子が描かれます。
ワイルド・ファング: ワイルド・ドッグの弟子にあたる人物で、真の黒幕編のステージ5に登場します。師匠譲りのアクロバティックな体術と、改造された義足からのミサイル攻撃、巨大なエネルギー弾といった独自の攻撃手段でプレイヤーに立ちはだかります。

その他

キース・マーティン: 元SAS隊員で、『タイムクライシス2』にてロバートと共に活躍したVSSEエージェントです。物語当初は裏切り者として噂されていましたが、真の黒幕編でプレイヤーの前に姿を現します。左目に眼帯、左腕が義手という姿で、忍者めいた素早い動きと、拳銃、手裏剣、刀を用いた攻撃を得意とします。瞬間移動のような能力も使用し、プレイヤーを攪乱します。ロバートの陰謀によって裏切り者に仕立て上げられていましたが、VSSEエージェントとの戦いを経て誤解が解け、真実を明らかにした後はロバートに代わって彼らと共闘します。
クリスティー・ライアン: 『タイムクライシス2』に登場したVSSEの女性エージェント。本作の事件の鍵となる機密情報の元の所持者でしたが、物語開始の3ヶ月前に黒幕であるロバートによって殺害されていたことが、キースの口から語られます。

使用可能な武器

ゲーム開始直後はハンドガンのみを使用しますが、ステージが進むにつれて、マシンガン、ショットガン、グレネードランチャーといったサブウェポンを入手し、切り替えて使用できるようになります。特定のステージでは、ヘリコプターに搭載されたマウンテッドマシンガンやロケットランチャー、終盤ではスナイパーライフルといった強力な固定武装を使用して進行する場面もあります。アップデート後には、各武器の最大所持弾数が調整されています。ガンコントローラーの外見はデザートイーグルに似ていますが、ゲーム内でルークとマークが使用するハンドガンは別のデザインとなっています。

ハンドガン: 初期装備。装弾数9発。ペダルを離すことでリロードでき、弾数制限はありません。
マシンガン: フルオート射撃が可能なサブウェポン。特定の敵に有効ですが、威力は控えめです。最大180発所持できます。
ショットガン: 一度に多数の弾丸を発射する散弾銃。連射が可能で、近距離で威力を発揮します。最大20発所持できます。
グレネード: 擲弾を発射するグレネードランチャー。着弾地点で爆発し、広範囲の敵や障害物に有効です。最大2発所持できます。
マウンテッドマシンガン: ステージ2で使用するヘリ搭載の重機関銃。弾数無制限で連射性能が高いです。
ロケットランチャー: ステージ2で使用。ビル屋上の敵などを攻撃する際に使用します。弾速はやや遅めですが、こちらも弾数無制限です。
* スナイパーライフル: ステージ4終盤で使用。弾数無制限ですが、1発ごとにリロードが必要なため連射は利きません。敵兵を一撃で倒すにはヘッドショットを狙う必要があります。

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