タイムズ＝ピカユーン

ザ・タイムズ-ピカユーン紙について

ザ・タイムズ-ピカユーン（The Times-Picayune）は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズで発行されている日刊新聞です。その歴史は1837年に「ザ・ピカユーン（The Picayune）」として創刊されたことに遡ります。当初、新聞の価格がスペインの通貨で1ピカユーン（アメリカドルで6¼¢相当）であったことが、この名前の由来となっています。

1914年には、ライバル紙との合併を経て現在の名称「タイムズ-ピカユーン」となりました。その後、1962年に実業家のサミュエル・アーヴィング・ニューハウス・シニアによって買収され、1980年にはもう一つの地元日刊紙「ステーツ-アイテム」と統合されました。合併後の新聞は、1980年から1986年まで「タイムズ-ピカユーン/ステーツ-アイテム」として発行されていました。

現在では、ザ・タイムズ-ピカユーン紙は、ニューハウス一族が所有するアドバンス・パブリケーションズ社によって発行されています。また、ニューオーリンズ周辺地域版では、現在でも「ピカユーン」の名前が使われています。例えば、グレトナでは「グレトナ・ピカユーン」として知られています。

この新聞には、過去にウィリアム・フォークナーやオー・ヘンリーといった著名な作家も寄稿していました。1997年には、地球規模の魚類供給危機を分析した一連の記事でピューリッツァー賞を受賞し、さらに同紙の漫画家ウォルター・ハンデルスマンも時事漫画部門賞を受賞しました。さらに、ハリケーン・カトリーナの報道では、ジョージ・ポーク賞の都市部報道部門賞と2部門のピューリッツァー賞を受賞しています。

論調

ザ・タイムズ-ピカユーン紙の論調は、テーマによって中道から保守的まで幅広く、連邦政府の選挙においては共和党を支持することが多いです。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュを支持しましたが、2004年の選挙では特定の候補を支持しませんでした。しかし、2008年の大統領選挙ではバラク・オバマ上院議員を支持しています。

ルイジアナ州知事選挙においては、マイク・フォスターやボビー・ジンダルなど共和党の候補者を支持してきました。また、2006年のニューオーリンズ市長選では、本選で民主党右派のロン・フォーマンを、決戦ではミッチ・ランドリュー副知事を支持しました。

ハリケーン・カトリーナの報道

2005年8月28日、ハリケーン・カトリーナがニューオーリンズに接近する中、避難をせずに新聞社にとどまった記者たちは、社屋の中心部に集まり、エアマットレスの上で寝袋で眠りながら嵐の通過を待ちました。同紙の記者とウェブサイトNOLA.comのスタッフは、狭く蒸し暑い部屋にこもり、8月30日に全館避難となるまで、インターネットを通じて最新情報を発信し続けました。これにより、通常の新聞発行ができない状況下でも、オンラインを通じて情報を伝え続けることができました。

NOLA.comのフォーラムとブログは、数千人ものニューオーリンズと湾岸の住民たちによって、援助や救助を求めるために利用されました。ジャーナリズムの専門家たちは、NOLA.comが大規模な市民ジャーナリズムを呼び起こしたことを評価し、このウェブサイトが人々の救助や離散した被災者たちの再会に貢献したと賞賛しました。

8月30日、洪水の水位が上昇し危険な状態になったため、記者とウェブサイトのスタッフは避難を決意し、バトンルージュのルイジアナ州立大学のキャンパスに拠点を移しました。しかし、一部の記者やカメラマンはニューオーリンズに残り、略奪などが頻発する現地の状況を伝え続けました。彼らは身を守るために武装し、私邸で作業を続けました。

2005年8月30日から9月1日までの3日間、新聞は印刷されませんでしたが、PDF版がオンラインで発行され、ブログを通じて最新ニュースが発信されました。特に、ブルース・ノーランが8月30日に投稿したブログは、当時の悲惨な状況を伝えています。オンラインでの新聞発行はわずか3日間で終わり、その後、同紙は印刷を再開しました。

また、同紙は9月4日にブッシュ大統領に宛てた強い口調の公開書簡を掲載し、連邦政府のハリケーン・カトリーナへの対応を批判しました。さらに、連邦緊急事態管理庁（FEMA）長官のマイケル・D・ブラウンの罷免を要求しました。ブラウンはその後、辞任しました。

ザ・タイムズ-ピカユーン紙は、2006年のピューリッツァー賞の公益部門賞を、同じくハリケーンで被害を受けたミシシッピ州ビロクシのサン・ヘラルド紙と分け合いました。さらに、同紙のスタッフはニュース報道で表彰され、元漫画家のマイク・ラコヴィッチはアトランタ・ジャーナル-コンスティトゥーション掲載の漫画でピューリッツァー賞を受賞しました。これらの漫画の一部は、ニューオーリンズ・マガジンにも掲載されています。

参考文献

NOLA.com - タイムズ-ピカユーン紙公式サイト （英語）
The Times-Picayune's history of the Times-Picayune - タイムズ-ピカユーン紙の歴史 （英語）
* タイムズ・ピカユーン紙のハリケーン・カトリーナに関するアーカイブ （英語）

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