タイ国イスラーム銀行

タイ国イスラーム銀行の概要

タイ国イスラーム銀行（Islamic Bank of Thailand、略称ISBT）は、タイにおける半官半民のイスラム銀行です。法人格としては1997年に誕生し、タイ政府が宗教的要素を取り入れた金融機関の設立を進めた結果、特に南部のイスラム教徒が多く住む地域での経済発展を目指しています。おおよそ70,000の株券の中で、15%が外国資本により所有されているという特徴を持っています。

歴史的背景

タイ国イスラーム銀行の設立は、1994年に締結された「インドネシア・マレーシア・タイ成長の三角地帯」協定から始まりました。この協定の意義は、ムスリムが多く住む南部の五県（サトゥーン県、ナラーティワート県、ソンクラー県、ヤラー県、パッターニー県）においてイスラム銀行を設置することにありました。その後、1997年にはバンコク・メトロポリタン銀行（現在のタナチャート銀行）が南部で業務を開始しましたが、アジア通貨危機によりこの計画は頓挫します。

その後、2001年にはタイ政府がクルンタイ銀行とカシコン銀行と共同で、再度南部にイスラム銀行の設立に着手しました。この際、クルンタイ銀行は専用の支店を設立し、イメージカラーを水色から緑色に変更して、イスラム金融に特化した業務を展開しています。

2002年、タクシン政権下でタイ王国イスラム銀行法が可決され、これに基づき政府が独自の銀行を設立することが決まりました。これが現在のタイ国イスラーム銀行の始まりです。この設立の背景には、深南部三県（パッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県）の治安不安がその地域の経済発展を遅らせているという認識があり、政府はこの問題の解決を目指しました。

最初の支店は、2003年12月15日にサトゥーン県にオープンしました。その後、2005年にはクルンタイ銀行のイスラム金融部門を吸収し、規模を拡大しています。2013年にはスワンナプーム国際空港内に支店を設け、外貨両替所の運営も開始しました。

特色と現状

タイ国イスラーム銀行は、ムスリムだけでなく非ムスリムの預金も受け付けているため、非ムスリムにも人気の高い金融機関となっています。このようにハラールに基づいた金融商品やサービスを提供することで、特定の宗教的ニーズに応えつつも幅広い顧客層の獲得に成功しています。

将来的には、さらなる事業拡大を図り、特に経済的に恵まれない地域における経済振興や社会的安定に貢献することが期待されています。全体として、タイ国イスラーム銀行は、国家の経済政策と連携しながら、イスラムの教えに則った健全な金融システムを目指して活動しています。

関連項目

• - タイ国イスラーム中央委員会

外部リンク

• - タイ国イスラーム銀行の公式サイト

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