タイ国立ナノテクノロジー研究センター

タイ国立ナノテクノロジー研究センター

タイ国立ナノテクノロジー研究センター（NANOTEC）は、タイ王国のナノテクノロジー分野の育成と発展を目的に設立された研究機関です。2003年に創設され、科学技術省の監督下で活動しています。このセンターは、ナノ技術の研究開発を行い、その知識を社会に普及させるとともに、ナノテクノロジーを産業化することを目指しています。

概要

ナノテクノロジーに関する研究は、1988年からタイ国内で始まり、特にチュラーロンコーン大学で小規模なナノ粒子技術の研究が行われていました。その後、国家規模での開発が進められ、2003年にはタイ国立科学技術開発庁がナノテクノロジー研究センターを設立しました。これに続いて、2005年には首相を委員長とするナノテクノロジー政策委員会も発足し、ナノ技術の普及に向けた取り組みが強化されました。また、NANOTECはアジアナノテクノロジーフォーラム（ANF）のメンバーでもあり、国際的な連携も図っています。

所在地

センターは、タイのパトゥムターニー県にあるタイランド・サイエンスパーク内に位置しています。具体的には、クローンルワン郡 タムボン・クローンヌン、パホンヨーティン通り130の場所にあり、アクセスも良好です。

研究インフラ

研究センターには、多様な目的を持つ10の専門ラボが存在します。これには、ナノ輸送システム、ターゲット高分子ナノ粒子探査、ナノ化粧品、ナノ安全性とリスク評価、高分子ナノ粒子センサー、有機ナノ材料、ハイブリッドナノ構造とナノ粒子合成、エネルギー・触媒用途ナノ素材、ナノスケールシミュレーション、試験業務などが含まれます。

試験業務

研究センターでは外部からの依頼も受け付け、さまざまな試験業務を行っています。持っている分析機器には、原子間力顕微鏡（AFM）、環境制御走査型電子顕微鏡（E-SEM）、走査型トンネル顕微鏡（STM）、MTT試験機器、紫外可視近赤外分光光度計、凍結乾燥機などがあり、それぞれ異なる測定に活用されています。

• - 原子間力顕微鏡 (AFM): 超高解像度を持つこの顕微鏡は、生体高分子や細胞組織の測定にも利用されます。
• - 環境制御走査型電子顕微鏡 (E-SEM): 従来のSEMよりも幅広い観察範囲を持ち、水分を含む試料の観察も可能です。
• - 走査型トンネル顕微鏡 (STM): 原子レベルでの解析が行え、化学的性質に関する重大な情報が得られます。
• - MTT試験機器: 生体細胞の生存率を測定する手法で、細胞試料の毒性評価にも利用されます。
• - 紫外可視近赤外分光光度計: 吸光度を計測し、さまざまな材料の分析に寄与します。
• - 凍結乾燥機: 保存が難しい物質を扱い、長期保存を可能にする装置です。

関連機関

NANOTECの活動は、タイ国立科学技術開発庁（NSTDA）や他の研究機関とも連携し、さらなる科学技術の進展に貢献しています。特に、タイ国立遺伝子生命工学研究センター（BIOTEC）やタイ国立金属材料技術研究センター（MTEC）といった機関との協力が、研究や技術開発の幅を広げています。

センターの取り組みは、ナノテクノロジーがもたらす可能性を広げ、社会への還元を目指しています。

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