タウラン事件

タウラン事件

タウラン事件は1936年3月29日から4月1日までの間に、日本と満州国、さらには外蒙古の間で発生した軍事衝突を指します。この事件では、関東軍が満州国の国境地帯での摩擦に対抗するための軍事行動を強化したことが背景にあります。

事件の概要

この事件の端緒は、オラホドガ事件など満州西部国境での軍事衝突が相次いだことに関連しています。関東軍は、この状況に対処するために、渋谷安秋大佐の指揮の下、渋谷支隊を増強しました。この支隊は、独立混成第1旅団から編成され、歩兵部隊に加えて山砲や軽装甲車を有する機械化部隊として設立されました。さらに、松村黄次郎中佐が指揮する戦闘機隊がハイラルに展開しました。

3月初旬、渋谷支隊はアッスル廟に進出し、拉致された満州国の警官を救出しようと試みた結果、外蒙古軍との小規模な衝突が発生しました。この時期の緊張が高まる中、3月29日、日本軍と満州国軍による共同の偵察部隊が活動を開始しましたが、外蒙古軍の航空機から攻撃を受け、全車両が破壊される事態が展開されました。

外蒙古軍は、日本軍が国境を50kmも深く侵入していると主張し、アジクドロン国境監視所やボルンデルス監視所への攻撃を叫びました。この一連の出来事が、タウラン事件の本格的な始まりを告げることになります。

戦闘状況の展開

3月31日、渋谷支隊は自動車化歩兵部隊や装甲車を利用してタウラン地区の偵察に出動しましたが、その際に外蒙古軍の戦闘機による空襲が行われました。外蒙古軍の航空機が73発の爆弾を投下し、機銃掃射を実施しました。日本側の対空火器により、数機を撃墜し、いくつかは不時着に追い込まれる結果となりましたが、外蒙古軍の攻撃は続きました。

その後、外蒙古軍が出動した機械化部隊との接触があったものの、渋谷支隊は満州国軍の若干を伴って反撃し、包囲攻撃を試みられました。この過程で、日本側の兵士が敗れる事態が生じ、平本鈴雄少尉が戦死するなどの犠牲も出ましたが、最終的には外蒙古軍の装甲車を鹵獲する形で一旦の戦闘が収束しました。

事件の終息とその後

4月1日、日本軍は空も含めたさらなる支援部隊を出撃させ、外蒙古軍の移動中の車列に対し攻撃をしかけました。この攻撃によって外蒙古軍は分散されましたが、事件の後にはこの衝突に関わる捕虜交換が行われ、日本側の負傷兵や外蒙古軍の兵士が交替されました。また、事件の責任として渋谷大佐は予備役に編入され、ソ連の文献にはオラホドガ事件の記録は見られるものの、タウラン事件に関する記録は存在しないとされています。

タウラン事件は日本と外蒙古間の緊張構造を象徴し、後の歴史においても重要な教訓を残すこととなりました。

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