タカワラビ科

タカワラビ科（Cibotiaceae）について

タカワラビ科は、シダ植物の中でも特殊な存在で、ヘゴ目に属する大葉シダ植物の科です。この科は、タカワラビ属（Cibotium）を唯一の属として持つ単系統群であり、分子系統解析により、その系統的な位置づけが明確になりました。かつては広義のタカワラビ科に含まれていたDicksoniaceae s.l.は、分子解析の結果、細分化されて現在の地位に至ったものです。タカワラビ科はその名の通り、タカワラビ属だけを含むため、特異な分類がされています。

学名と由来

タカワラビ属のタイプ種はCibotium chamissoiであり、古代ギリシア語の「κιβώτιον」に由来しており、「小さな箱」を意味します。この名は胞子嚢群が包膜に覆われた形状から来ていると考えられています。

形態

タカワラビ科の代表的な特徴として、地上生の胞子体があります。茎は匍匐または直立しており、高さは数メートルに達することもあります。茎の径は太く、先端や葉の基部に金色の柔らかい毛が密生し、鱗片がありません。葉は非常に大きく、2–4メートルの長さを持ち、胞子葉と栄養葉は同じ形をしています。この葉は、2回羽状複葉で細かく切れ込み、先端が尖った裂片を持つのが特徴です。

胞子嚢群は葉縁の脈端に形成され、二弁状の包膜に包まれています。この包膜は緑色ではなく、胞子嚢群が成熟する際に順に成熟する形式を取ります。胞子は丸みを帯びた形状で、64個が1つの胞子嚢に含まれます。

分類と分布

タカワラビ属には環太平洋地域に9 – 11種が存在し、そのうち6種はハワイに特有です。日本では、沖永良部島以南の琉球列島に只一つ、タカワラビ（Cibotium barometz）が自生しています。

利用

タカワラビは、さまざまな利用がなされています。根茎は工芸品や薬用として用いられ、特にハワイでは「ハープウ」として親しまれています。ハワイでは、若い茎を帽子として利用したり、フィドルヘッドを食用にしているほか、毛（プル）は包帯などの材料に使われ、さらにはアメリカ本土に輸出されています。また、茎に含まれる澱粉は豚の飼料としても利用されています。

終わりに

多くのシダ植物とは異なり、タカワラビ科はその独特な形態と生態的特性を持ち、現在も進化の過程を経ながら生息しています。分子系統解析の進展により、タカワラビ科の位置づけが明らかになってきており、今後の研究にはさらなる期待が寄せられています。

もう一度検索