タガメ亜科

タガメ亜科（Lethocerinae）

タガメ亜科（学名：Lethocerinae）は、昆虫綱半翅目コオイムシ科に分類される一群です。世界各地に生息する大型の水生昆虫を含み、強力な捕食者として知られています。かつて分類の見直しが行われ、現在では三つの独立した属がこの亜科に含まれるとされています。

属の構成

タガメ亜科は、以下の三つの属によって構成されています。

1. タガメ属（Kirkaldyia Montandon, 1909）
この属に含まれるのは、日本の水田などにも生息するタガメ（Kirkaldyia deyrolli）ただ一種のみです。

2. タイワンタガメ属（Lethocerus Mayr, 1853）
この亜科内で最も多くの種を含む属で、22種が知られています。大型で広範な地域に分布する種が多く、代表的なものとしては、タイワンタガメ（Lethocerus indicus）、北米に生息するアメリカタガメ（Lethocerus americanus）、アフリカ大陸に分布するアフリカタガメ（Lethocerus cordofanus）、南米のナンベイオオタガメ（Lethocerus maximus）、アメリカコガタタガメ（Lethocerus uhleri）などが挙げられます。

3. Benacus属（Benacus Stål, 1861）
この属もフロリダタガメ（Benacus griseus）一種のみが知られています。

分類学的な変遷

タガメ亜科の分類は、過去にいくつかの見直しを経て現在の形に至っています。かつては、旧Lethocerus属がタガメ亜科の主要な分類群であり、Benacusはその亜属として扱われていました。また、現在タガメ属として独立しているKirkaldyiaは、旧Lethocerus属のシノニム（異名）と見なされていました。

しかし、その後の研究の進展により、これらの分類群はそれぞれが独立した属として認識されるようになりました。その結果、現在のようにKirkaldyia属、Benacus属、そして旧Lethocerus属が分離・整理されたLethocerus属（タイワンタガメ属）の三つの属が含まれる体系が確立されています。この分類は、Perez Goodwynによって2006年に発表された研究に基づいています。

和名の出典

本記事で用いられている和名の多くは、日本国内に産する種（タガメなど）については中島ほかによる2020年の文献を、それ以外の外国産の種に関しては都築ほかによる1999年の文献や、市川による2009年の情報を参考にしています。

タガメ亜科の多様な種は、それぞれの生息環境に適応した形態や生態を持ち、水辺の生態系において重要な役割を果たしています。特に大型種は、その迫力ある姿から多くの人々の関心を集めています。

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