タガヤサン

タガヤサン (Senna siamea)

タガヤサン、またの名を鉄刀木、学名はSenna siameaであり、シノニムとしてCassia siameaとも知られています。この木はマメ科のジャケツイバラ亜科に属する広葉樹で、主にタイ、インド、ミャンマー、インドネシアを中心とした東南アジアが原産地です。一般的に「唐木」として知られ、特に銘木としての価値が高いものの一つです。ビルマ語では「メーザリー」と呼ばれています。

樹木の特性

タガヤサンは耐久性があり、さまざまな環境に適応するため、アジア全域での広範な栽培が行われています。特に明治時代には台湾でも栽培されていましたが、主に小さな木が伐採され、燃料として利用されることが多いのです。成長すると高さは20メートル、直径は40センチメートルを超えることがありますが、そういった大型のものは滅多に見られません。

この木は鮮やかな黄色の五弁花を開花し、芳香を放ちます。その美しさから、熱帯地域では庭木や街路樹としても広く使用されています。

木材の特性

タガヤサンの木材は非常に硬く、耐久性に富んでいます。気乾比重は約0.80と重く、硬い質感が「鉄の刀のようだ」という意味が込められた「鉄刀木」という名前の由来になっています。一説には、「たがやさん」という名称はフィリピン語の「tambulian」が源である可能性もあります。木材の表面には美しい柾目が現れ、薬品による色抜きが施されて明るい色合いで販売されることもあります。加工が難しく乾燥に敏感ですが、腐食への耐性は高いです。タガヤサンの木屑は目を刺激するので、加工時には注意が必要です。

最も質の高い木材はビルマ周辺産が知られていますが、現在は資源保護の観点からその輸出が禁止されています。また、タガヤサンには黒褐色と金色が混ざった美しい縞模様があり、この黄色の筋は横断面でも見られます。他の樹種、例えばウェンジとは似ていますが、色合いや木目の違いがあります。

用途

タガヤサンの木材は、主に家具や仏壇、数珠、建築材、内装仕上げ、木刀、ブラシの柄など、装飾的な用途で用いられます。特に耐久性に優れるため、家の床柱にも使用され、長持ちすることから重宝されています。一方で、辺材はほとんどが燃料として利用されます。

また、東南アジアの特にタイやラオスでは、タガヤサンの花や葉を食用とする伝統があり、酢漬けや塩水漬けにして使用されます。特に「ゲーン・キー・レッ」という汁物が代表的で、これは茹でた葉や花にカツオの身や焼いた豚肉を加え、タイカレーのペースト、ココナッツミルク、ナンプラー、砂糖で味付けをして煮込んだ料理です。この料理は辛味が強く、タガヤサン特有の苦味とココナッツミルクのまろやかさが組み合わさっています。便通にも効果があるとされており、多く食べれば翌日に効果を実感できることがあります。

この料理はタイの南部でよく食べられ、日常食として楽しむことができますが、バンコクではあまり見かけない田舎料理です。

代用材

タガヤサンの木材に類似した特性を持つ代用材として、同じマメ科の異なる属にあたるミレシア属の木材が挙げられます。具体的には、Millettia leucanthaやMillettia laurentii、Millettia stuhlmanniiなどがその代表で、これらはそれぞれ地域に応じた名称や用途があります。それぞれの木材にも独自の魅力があり、タガヤサンと同様に多様な使い方がされています。

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