タコノアシ

タコノアシ（蛸の足、学名：Penthorum chinense）は、東アジアに広く分布するタコノアシ科の多年草です。タコノアシ属には2～3種が存在し、東アジアと北アメリカ東部に分布しています。

特徴

タコノアシは、その名の通り、赤い実をつけた姿がタコの足のように見えることが特徴です。湿地や沼、休耕田などの湿った場所に生育し、日本では本州から九州にかけて分布しています。

草丈は数十cm程度で、細長い葉が茎にらせん状につきます。茎の先端には、放射状に数本に分かれた総状花序をつけ、9月頃に小さな花を多数咲かせます。この花の集まりを上から見ると、吸盤のついたタコの足を下から見たように見えることから、この名前が付けられました。花は、がく片と花弁がそれぞれ5枚、雄しべが10本あります。雌しべは5つの心皮からなり、下部で合着します。晩秋になると、蒴果が熟し、全草が赤く紅[[葉]]します。

分類

タコノアシは、かつてはユキノシタ科に分類されていましたが、花の形態などがベンケイソウ科に近いという説もありました。しかし、APG植物分類体系では、独立したタコノアシ科（Penthoraceae）として分類され、ユキノシタ科およびベンケイソウ科と同じユキノシタ目に属しています。タコノアシ科は、ユキノシタ科やベンケイソウ科と近縁関係にありながらも、独自の進化を遂げたと考えられています。

生育環境と減少要因

タコノアシは、元々河川下流域や河口域の湿地、水田周辺などに生育していましたが、これらの環境が失われたことが、減少の大きな原因とされています。また、撹乱依存型の植物であり、群落の長期維持には適度な除草が必要です。競合する植物としては、セイタカアワダチソウ、ツルマメ、チガヤ、オギ、ヨシなどが挙げられます。繁殖力は比較的強く、土壌シードバンクを形成するため、適した環境があれば一気に繁殖する様子も見られます。

保全状況

タコノアシは、環境省のレッドリストで準絶滅危惧（NT）に指定されています。以前の環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)に指定されており、生育環境の悪化により、絶滅の危機に瀕している状況にあります。

タコノアシの保全のためには、湿地環境の保全や、適切な除草など、生育環境の維持が重要です。

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