タソス島

エーゲ海の宝石：タソス島の歴史と自然

タソス島は、エーゲ海の北端に位置する、ギリシャ領の美しい島です。トルコではタショズ島と呼ばれ、トラキアの海岸線に近く、地理的にはマケドニアに属しています。北岸のリメナスが中心都市で、穏やかな気候の中、農業（蜂蜜、オリーブ、ワイン）、牧畜（羊、山羊）、そして漁業が島の経済を支えています。

古代からの歴史と幾多の支配

タソス島の歴史は古く、最初にこの地を定住したのはフェニキア人だと考えられています。彼らは島の金鉱脈に目をつけ、タソス島を開拓したのです。紀元前8世紀頃にはパロス島の植民地となり、その後はローマ帝国、東ローマ帝国の支配を受けました。1462年からはオスマン帝国の支配下に置かれましたが、1820年代には興味深い出来事が起こります。ギリシャ独立戦争への介入に対する褒美として、オスマン帝国のスルタン・マフムト2世からエジプトの支配者ムハンマド・アリーに私的な封土として与えられたのです。ムハンマド・アリーはカヴァラの出身であったため、エジプトによる支配は比較的穏やかで、島は繁栄を続けました。

しかし、1908年のトルコの青年トルコ人革命と軍政敷設により、タソス島を取り巻く状況は一変します。1912年の第一次バルカン戦争では、ギリシャ王国海軍がタソス島をギリシャ領として要求し、同島はギリシャに復帰しました。第二次世界大戦中は枢軸国側のブルガリアに占領され、住民は飢餓や強制労働に苦しめられました。ブルガリアはトラキア併合を企み、学校教育を通してブルガリア化を進めようとしました。タソス島はブルガリア語で「Tacoc」と呼ばれ、山岳地帯では小規模なレジスタンス運動が展開されました。戦後もギリシャ内戦の影響を受け、1950年まで共産ゲリラによる攻撃が続きました。

行政区画と現代のタソス島

現在、タソス島は東マケドニア・トラキア地方に属するタソス県を構成し、タソス市のみから成る単一自治体です。2011年のカリクラティス改革により、カヴァラ県から分離して独立した県となりました。この改革は、ギリシャの地方自治体の大規模な統廃合を伴いましたが、タソス市は他の自治体との合併は行わず、独自の自治体として存続しています。

タソス島は、豊かな歴史と自然が調和した魅力的な島です。古代からの遺跡や美しいビーチ、そして美味しいワインやオリーブオイルなど、訪れる人を魅了する要素が数多く存在します。穏やかな気候と美しい景色の中で、悠久の歴史を肌で感じることができるでしょう。 今後、タソス島がどのような発展を遂げるのか、世界中から注目が集まります。

脚注

記載されている人口データは、2001年国勢調査に基づきます。
行政区画の情報は、2011年1月施行のカリクラティス改革に基づきます。

外部リンク

* タソス島の自然史に関する情報

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